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2009年 06月 28日
サンツアー七不思議:その1
『幻のサイクロン』 サンツアーのRメカには、本体上部後方に角度調整ビスが取り付けられている。様々なタイプのフレームエンドに適切な角度で取り付ける為のものだが、例外としてシュパーブ及びシュパーブ・プロにはこのネジは付いていない。これはシュパーブがサンツアー専用エンドでの使用を前提としている為で、融通が利かない反面、スッキリとして美しい。 昔から初代サイクロンを愛用している私だが、一つだけ気に入らないのがこの角度調整ビスだった。 (これさえ無ければ、シュパーブみたいにシンプルになるのになあ。) しかしそんな物は無い。無いはずだった、カタログには。 サンツアーのディレーラーに付き物、 角度調整ビス。 そんな訳で、後年ネットオークションで角度調整ビスの無い中古の初代サイクロンを目にした時は我が目を疑った。 (なんだ、あったんじゃないか!) 私はコレクターではない。サイクロンのスペアは入手しておきたいが、あくまで実用目的なので多少高価でも新品しか購入しない主義だ。貧乏な癖に、その辺は贅沢なのである。結局そのサイクロンは他の誰かが落札したのだが、せめて画像だけでも保管しておくべきだったと後悔したが後の祭りだった。証拠が無いので、あれが初期型なのか後期型なのかも確認できない。それどころかあれは見間違いでは無かったかとまで思うようになり、幻のサイクロンは再び霧の中へと消えていった。 ところが先日、当ブログを読まれたgoroさんから驚くべき情報が寄せられたのである。 ≪私もサンツアー派です。高校入学時に買ってもらったシルクのR2にサンツアーサイクロンが付いていたからです。で、今もある(はず)のサイクロンは後期型のアジャストボルト無しのタイプです。これが普通だと思ってました。私にとっては幻ではないです:笑。≫ 後日提供頂いたその画像は、紛れも無く私が思い憧れたあの、幻のサイクロンだったのである! 幻ではなかったのだ。 このタイプは一切カタログには載っていない。このタイプがいつ頃、どの位生産されたのか、なぜマエダ工業はわざわざ(それも融通の利かない)別バージョンを生産したのか。今となっては知る由も無いが、勝手ながら色々と推察してみたい。 シュパーブ本体流用説 始めに触れたが、この角度調整ビスを持たないメカはシュパーブ・プロ及びシュパーブだけである。最初にこのメカの画像を見た時に思い浮かんだのは、シュパーブの本体を流用して組み合わせ、この形にしたのではないか、という説だった。しかし、一体何の為に?その目的が思い浮かばない。結局シュパーブとこのサイクロンの本体形状が全く異なる事を確認し、そんな事を検証する間でも無くこの説はあえなく没。 ビス有り型(上左)とシュパーブ(上右)及びビス無し型(左)の本体。シュパーブとは全く別物で、あくまでビス有り型の別バージョンという事が判る。 マスプロ車供給モデル説 goroさんの情報では、シルクR2(ロード)に標準装備されていたとの事。と言う事は、『ビス無し型はマスプロ車向けにマエダ工業が特別生産したモデル』という仮説が考えられなくも無い。マスプロメーカーのブランドロゴを掘ったクランク(パナソニックやBS)や、海外ではプジョー向けにサンプレやマファックが作ったディレーラーやブレーキという実例はある。 しかし、それらはあくまでロゴを加えたり、ラベルを張り替えたりしたものであって、機能に直結するものではない。ましてやマスプロ車に供給する為に、わざわざ互換性を損なう形状変更を行うとは本末転倒で、考えにくい。 輸出モデル流用説 この型が後期型だけなのかどうかは未確認だが、goroさんは『これが最終型ではないか』という仮説を立てられている。以下はアジャスト無しタイプは後期型のみ、という前提で話を進めよう。 そもそもピポット部が厚くなった後期型は、強度を重視する米国市場からの要請によりイナーチェンジされたものとの事(『サンツアーの全て』より)。そこから浮かんだのが以下の仮説である。 米国用(あるいは輸出用)には角度調整ビスの無いものを製造・輸出したものの、それを国内市場に流通させるにはやはり汎用性に問題がある。そこで国内用には角度調整ビス付きのものを生産した訳だが(当然国内用カタログにはそちらを掲載)、一部市販車には使用するフレームエンドも予め指定されているので、輸出用のモデルを流用したのではないか・・・という仮説。私が持っている英語版カタログのショートケージタイプには、撮影角度が微妙で完全には確認できないがビス無しに見えなくも無い事ともつじつまは合う。 英語版カタログのショートケージタイプ。角度調整ビスは付いてない・・・様に見えるが、微妙な角度ではある。ちなみに同カタログ掲載のGTタイプには、しっかりとビスは付いている。もう何がなんだか。 もっとも、なぜ市販車にビス無し輸出モデルを装着したのか、その理由は判らない。高級感を演出しようとしたのか、ダブついていた輸出用モデルの在庫を掃くのが目的だったのか・・・。 この仮説も、初期型のビス無しタイプが確認されればあえなく否定される事になる。GTタイプのビス無しタイプも未だ確認されていない。サイクロンの角度調整ビスの謎は、今も深い霧の中で揺れている。
by james_y1964
| 2009-06-28 07:48
| 『サンツアーよ、永遠に』
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Comments(9)
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goro
at 2009-07-24 23:50
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いつも読んでもわかりやすい文章で敬服します。
ご無沙汰でございます(私も家族経営の会社役員?ということで忙しかったりそーでなかったり、でした:笑)。 私も後期型GTのビス無は見たことはありません。 一時期GTは所有してたけど後輩にあげちゃいました(基本ロングゲージは好きでないのですね~「ケージ?ゲージ?」)。 ただ、以前から不思議だったというか、根本的疑問として、「調整ネジって必要?」と思っていたのです。 取説には「チェンステイと平行に」などと書かれていた記憶があるものの、実際他に装着するときには(手持ちのフレームがたくさんあったわけではなく、当時R2ロードとランドナーの2本だけですが)これと言って調整する必要はなかった・・つまり、私のサイクロンは元からネジがなかったので調整できないのだけど、角度的に全然問題なかったから、上記の疑問が生じていたのですネ。そんな経緯もあって、サンツアーはネジを省略した=生産性とコストの問題=のではないか?と思うわけです。
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goro
at 2009-07-25 00:01
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ちょっと言葉が足りなかったので追加です。
「調整ネジって必要?」について 今はランドナーにユーレー(サクセス→ジュビリーレーシング)を付けてますが、ユーレーには必須ですね。好みの問題もあると思いますが、私はユーレーについて(アルビは除く)は「やや寝かせ気味」のセッティングが好きです。そのためにも必要だと思います。 ただ、当時のレーサーやストドロエンドのランドナーなどに、国産Rメカ(シマノは使ったことないので不明だけど:笑)を装着する場合、あくまで少ない経験上ですが、調整ネジがなくても全く問題なかったのですネ。 なので上記の疑問があったのです。ネジ無いほうがすっきりしてるし。
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ジェームス
at 2009-07-26 02:40
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goroさん、こちらこそご無沙汰してます。
>私も家族経営の会社役員?ということで忙しかったりそーでなかったり あはは、同じですよー。私はただ今スーパーウルトラ超繁忙期。ブログ更新、滞りまくりです(涙)。 >サンツアーはネジを省略した=生産性とコストの問題 うーん、これもちょっと疑問が残りますね。と言うのが、本体の形状を変えるためには金型を改修しなければなりません。聞いた話ですが、金型こそ最もコストがかかるものであり、モデルチェンジを控えた初代サイクロンの為にそこまでするか・・・とも思います。(もっとも改修だけならそれ程コストが懸からないのであれば、十分説得力はありますね!) エンドの問題は・・・サンツアーのカタログでおなじみの『様々なタイプのエンドに取り付けられます』の解説。あの通りで、当初は必要なものだったのでは無いでしょうか。ただご存知のとおり、国産マスプロ車は(多分)ほとんどが(たまたまサンツアーのディレーラーにもピッタリ合う)シマノのストドロエンドを装着する様になった為、結果的に『無くてもいいじゃん』状態になったのでは無いでしょうか。
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ジェームス吉田
at 2009-07-26 02:41
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goro
at 2009-07-26 23:53
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何かで読んだか聞いたか記憶が定かでないのだけど、「アメリカ人って人種は全員不器用な奴らで・・」という内容の文章(?)。
変速機だって買ってすぐ調整などせずに(できない?笑)ポン付けしたいみたいで、前期型→後期型への移行の理由と同じようにクレーム?付けて調整ネジを外した(外させた)のではないか?という気がしてるのです。 自分の(前述の)経験と、シュパーブのネジが無い時期との合致(してる?)、前期型はネジあり、後期型はネジあり→ネジなしという流れのほうがしっくりするし(あり、なし併売は考えにくい~在庫分は除く)、1979モデルのR2-Pへの装着(サイクロン全体の販売時期・モデルの移行・改修の詳細はジェームスさんのほうが詳しいと思いますが)、その後のMK2への移行の時期、などの理由で「これが最終型」説なのですね。 時系列に沿っての検証が必要な気がしますです(私はそんなに「時系列」に詳しくありませんのでお任せします:笑)。
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goro
at 2009-07-27 00:10
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たびたびでどーも。
(つづき)すると、おいてきぼりを食ってる「GT」については?ということになりますね:笑。 どーゆーことでしょうか?前にも書いたとおり、ネジ無しGTの存在を私は知りません。 一般的にショートはレーサーに、GT(ロング)はランドナー「他」にという用途かと思うので、汎用性を残すため「GTはネジ付き」なのではないか、と思ってみたり・・(わかりません:笑)。
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james_y1964 at 2009-08-02 05:11
goroさん、お返事遅れてスイマセン。
調整ネジを外した理由が『高級感追求』『不要と判断』などではなく『アメリカ人はポン付け』という説は面白いですね! シュパーブ(ネジ省略)と同時期という、時系列に着目するとは鋭いなあ。 新たな疑問として・・・じゃ、なぜマークⅡはネジを復活したのか?輸出する気が無かったのか?(んな筈無いだろうけど)はたまた、ネジの無いマークⅡが存在するのか? そしてやっぱり『ネジ無しGTはあるのか、ないのか?』 ・・・やっぱりわからんですなあ(笑)。
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goro
at 2009-08-04 13:19
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ネジ無しmk2は無いでしょうね(正確にはわかりません)
手持ちで言えばサイクロン7000にも付いてるし(埋め込みで目立たないようにはなってる)。 話題がアチコチ飛んで申し訳ないのですが、シュパーブ(初期~プロ)発売時、サンツアーは「行けるんちゃうか~!」と世界征服を目指したのでは?とも思うんですね。カンパ何するものぞ、シマノ?実際負けてないし、と悪く言えば血迷ったのでは(笑。で、サンツアーエンドの使用前提でRメカを設計していた、と。 その後反省して「ネジ復活」させたような気がします。 これも根拠ありません。 考えればいろいろなことは言えると思うんですね。 「アメリカ人不器用説」は?(笑)・・意外とこれが正解だったりして。 でもなんとなくニュアンス理解できますね:笑。
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james_y1964 at 2009-08-09 10:14
goroさん、毎度です。
確かにネジ無しマークⅡはありそうもないですね。 >「行けるんちゃうか~!」 うんうん、これはあり得ますよね。当時の勢いを考えてみれば。 あの強気を崩してほしくなかったなあ、ファンとしては。 それにしても、何ぼでも妄想は広がりますね(笑)。
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