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2009年 05月 17日
盟友・初代サイクロン(後)
1981年。ライバル・シマノが仕掛けたエアロブームの中、遂に後継機種・サイクロンマークⅡが発売される。 (左)。シュパーブプロ・Fメカ(右)、トップマウントシフトレバー(中)も発売されたが、新 サイクロンのネーミングは前後メカ本体のみでWレバーの発売は無かった。シュパーブ プロも同様で、どうやら『トップマウントを兼用で使ってください』という事だったらしい。 ちなみにこの画像は発売初期の広告より。“CYCLONEⅡ”のプリントロゴは、後に ちゃんと“CYCLONE M‐Ⅱ”に改められる。 エアロ化、と言うよりマイクロライトのポリシー通り、前後メカとも随分スリムになった。 Rメカのテンションスプリングはゼンマイバネを採用した事により、横幅は革命的に縮小された(と、書けば簡単に聞こえるが、その開発は苦難の連続だったそうだ)。Fメカは強度的に問題を抱えていたパンタグラフをシュパーブ同様の一般的な『箱型』に変更した上、初代Wレバーで培ったアイデアを活用したであろうエンドレスクランプを採用。見た目は素晴らしくスッキリしたものだが、取り付けが厄介という欠点もあった様だ。そのせいか後年、本体は同一で取り付け部のみ従来のバンド式に戻されたモデルも併売される事になる。 側面のロゴが安っぽいプリント文字に変わり、初代を見慣れた目にはややツルツル過ぎるデザインがランドナーにマッチしない事等、ちょっぴり気に入らない点も有ったが、まあ時代の流だから仕方が無い。そんな些末な事よりも、重要なのは『マークⅡは紛れも無くサイクロン直系のメカだった』という点だ。 前述の変更点はいずれもコンパクト・軽量(=マイクロライト)を目指したものであり、技術が旗印の前田工業のポリシーにブレは見られなかった。特に、Rメカのパンタ部ど真ん中にワイヤーを貫通させるという機構は初代モデルから引き継がれ、多少デザインが変わってもサイクロンの血脈を主張していたのが嬉しかった。 (これぞ正当進化。よくぞやってくれたサンツアー!) 相変わらずシュパーブの下というセカンドグレードではあったが、マークⅡはそれでもかつての栄光に恥じない魅力を放っていた。結局私自身は使う機会は無かったが、サイクロン一族の発展を願い、心からエールを送ったものだ。 時は流れ、怒涛のMTBブームがやってきた。愛読していたサイクルスポーツ誌からは私の興味を引く記事が日に日に少なくなっていく。数年間続いたサイスポの定期購読の終りが近付いてきたその頃、サンツアーの新コンポーネント・スプリントが発売された。サイクロンの話題から外れるが、少しだけスプリントについて触れておきたい。 シュパーブは別格として、このスプリントこそが、サンツアーのシングルテンション・スラントパンタメカ時代の集大成だったと思う。実は私のお気に入りのコンポーネントなのだ。ペダルだけは短期間使った事があるが、その他のメカは使用経験無し。以下の感想はあくまでデザイン中心のコメントなので誤解の無き様に。 カラーアルマイトの表面処理は好みが分かれるかもしれないが(もっとも今では当たり前だが)、薄いグレーをバランス良く配したデザインはかっこいい。 Rメカではサイクロンに採用されたシフトワイヤーをパンタ部に貫通させる方式に見切りを付け、オーソドックスなワイヤー固定方法を採用。必要な強度を残すだけのボリュームを保ちつつ、無駄を排したスリム・シンプルな外観は大きな特徴こそ無いものの、洗練された機能美に溢れている。 ペダルのプレートはクイル型を廃し、始めから(昔で言うところの)ピストタイプのみのラインナップ。『ロードにはクイル』というスタイルが崩れ始めた時期で(と、偉そうに書いているが私は競技経験無し、これは聞きかじり情報)、無駄なバリエーションを増やさなかったのは正解だろう。 ブレーキレバーやWレバーも魅力溢れる機構が組み込まれている様だが、使った事が無いし実物を手に取った事も無いのでこれ以上のコメントは控える事にする。 私にとってのスプリントの魅力は『無駄を廃し、実用性能を重視し、コストも下げて、尚且つデザインも美しい』という点だが、当時実際に使われた方々の感想はどうだったのだろうか。 ところが喜んでばかりは要られなかったのだ。ショックだったのは、ディレーラー以外も含めたトータルコンポーネントとして始めて登場した『三代目サイクロン』が、このスプリントの下に位置付けられていた事だ。事実上の格下げである。 スプリン(左)と新サイクロン(右)のRメカ。画像で見る限り、サイクロンは仕上げ・デザイン共にスプリント程力が入っていない様に見える。その形状 からして、これらはひょっとして同一設計の兄弟 メカだった? スプリントの出来が良かっただけに、この『サイクロン格落ちラインナップ』は極めて悲しい事件だった。セカンドグレードからサードグレードに落ちただけ、といえばそれまでだが、これはサイクロンの歴史からすれば屈辱的なものだ。 (サイクロンはセカンドグレードでなければならない。トップの座はシュパーブに譲っただけで、元々サイクロンはサンツアーの旗艦メカ、栄光の血筋なのだ。サードグレードなど、サイクロンの立つ場所では無い。) 今にして思えば三代目サイクロンも決して悪いメカでは無かったかもしれない。しかしラインナップの順位を別にしても、残念ながらマークⅡ程の魅力は無かったと思う。とにかくこのモデルチェンジは、少なくとも『サイクロン使い』を自認していた私を落ち込ませるには十分だったのである。 それ程間を空けず、サンツアーは私の落ち込みに拍車をかける様なマイナーチェンジを行う。それは主要Rメカのダブルテンション化とWレバーのインデックス化。87年秋、スプリント、サイクロンもそれぞれスプリント9000、サイクロン7000と名を変えるが、その頃から休眠サイクリスト化しつつあった私にはその後のパーツ事情はよく判らない。1990年のサンツアーのカタログにはサイクロンの姿は影も形も、無い。 冒頭紹介した新品の初代サイクロンRメカ(GTモデル後期型)は、コレクションの為に入手したのではない。我がランドナーのチェンホイールは48×34Tのダブルだが、こんなギア比でいつまでも乗れる訳は無いだろう。脚力の衰えた老後の為に、私はサカエのトリプルチェンホイール(48×40×28T)を秘蔵しており、それを使う為の物なのだ。Fメカの使用可能最小ギア(ワイド用継手を使っても最小32T)に問題はあるが、オーバーサイズの“超”継手を自作すればなんとかなるだろう。サンツアーには他にも魅力あるディレーラーが多いが、ランドナー一台しか所有できない現在、これからもずっと初代サイクロンを使い続けて行きたい。 (この項 終) 聞こえは悪いが、BB等の互換性、専用工具に悩まなくて良いというメリットは絶大。 ワイド用継手(サイクロン取り扱い説明書より)。これも近年入手困難に。
by james_y1964
| 2009-05-17 11:48
| 『サンツアーよ、永遠に』
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Comments(4)
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やの
at 2009-06-16 21:15
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スプリントのWレバーラチェット入りで引きが軽いのためいまだにロードに使っています。今年で23年目になります。
どこに型が残っていたのかは分かりませんが、ダイヤコンペが今発売しているフリクションタイプのWレバーはスプリントのコピーです。 ちなみに画像のアペックス、私も持っています。
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james_y1964 at 2009-06-19 01:11
やのさん、こんばんは。
>ダイヤコンペが今売しているフリクションタイプのWレバー あっ、本当だ!全然気が付きませんでしたよ!こんな所にサンツアーの財産が受け継がれているかと思うと、胸にグッと来るものがあります。 ・・・それにしても、何でだろ?(サンツアー七不思議に入るか?)
はじめまして、おじゃまします。
かなり個人的な意見も入るかと思いますが、 私から見るとCycloneM-2シリーズはGTもラインナップしている事からも分かるように ロード専用ではなくスポルティーフやランドナーにも対応できるギアキャパシティを持ったメカセットであったと思います。 例えばFメカとRメカのキャパを一杯に取れば、リアに「Sサイズ」のメカを使ってもF50-32/R13-26程度、のワイドレシオが取れます。 しかしシマノ600Ultegraが発売され、ロード専用でキャパシティを抑え、レスポンスも良く、軽量で、価格も抑えたラインナップが必要になってきたためスプリントシリーズが間に入ったのではないでしょうか。 ご存知のようにスプリントの名前は以前からトラックハブ1種のみに用いられていた名前でしたが、 私もシュパーブシリーズには手が届かなかったため、スプリント「ほぼ」フルセットでロードを組みました。 その直後インデックスシフト対応のメカセットが発売になり、 当初はラチェット&インデックスを組み込んだ巨大なWレバーに失望しつつ、結局それから20年以上?シュパーブプロと共通のシフトレバーは今も使っています。
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james_y1964 at 2009-09-06 09:08
とおるさん、はじめまして&いらっしゃいませ。
確かにマークⅡもスプリントも、Rメカはショートタイプでも初代サイクロンよりキャパシティがちょっとだけ大きくなってました。これはツーリングマシンに装着するには(特にスポルティーフには)重宝しますね。コンパクトなのに軽いギアが付けられてスマートですから。 本文中でも触れましたが、スプリントは好きなコンポでした。私自身はペダル以外使ったことはありませんが、練習用にはフルスプリント、決戦用にはフルシュパーブのロードを2台所有して・・・などという妄想を抱いていたものです(笑)。 >ラチェット&インデックスを組み込んだ巨大なWレバーに失望しつつ あはは、これは同感。すっきりとしたレバーになじみきってる世代にはどうしてもそういう風に見えてしまうんですよねえ。SISが定着した今となっては過去の遺物になりつつありますが・・・。
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