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2015年 08月 16日
私の愛車、質実剛健号(東叡ランドナー)には、ヘッドバッヂは付いているが、ダウンチューブにTOEIのステッカーが貼られてない。
塗り替えたわけではなく、オーダー当初からこの姿。つまり、あえてステッカーを貼らないように頼んだのであるが、もともとはヘッドバッヂさえ付けない予定だったのだ。 ヘッドバッヂだけは付けたのは、オーダーの窓口になってくれたKサイクルの親父さんからダメ出しを食らったからである。 『それでは東叡でオーダーする意味が無いじゃないか!せめてヘッドバッヂくらい付けなさい。』 若かった当時、論理立てて反論する自信は無かったし、親父さんのいう事ももっともだろう、という気もした。何より親父さんの剣幕に圧倒されたのである。結局、ヘッドバッヂだけが付けられたTOEIフレームが納車された。 『ステッカー、貼り忘れたんですか?それとも再塗装?』 私のフレームを目にした方々が最初に口にするのがこの質問である。 フレームが出来上がってから、四半世紀が過ぎた。 ある日、私は先輩サイクリストの赤鬼亭さんのブログの中で紹介された、氏の愛車の画像を見て衝撃を受けた。 赤鬼亭さんは、自らデザインしたヘッドバッヂを作成し、愛車に装着していたのである。ダウンチューブのステッカーも≪akaonitei≫オリジナル。そう、これこそ私が、世界に一台しかない、自分にとっての究極のランドナーに与えたかった工作だったのだ。 オーダー当時も今も、私はヘッドバッヂ自作の技術も知恵も持ち合わせていない。ネットの無い時代、プロに依頼する発想もツテも無かった。ただ単に(オリジナルのヘッドバッヂとステッカーを付けたいなあ。世界に一台しかない自転車だもんなあ)と、漠然と考えていただけである。ショップの親父さんに反論できなかったのは、具体的な方策を準備できていなかった事も大きかったのだ。 もう一つ、当時判断しかねる大きな問題があった。オーダーフレームに工房と無関係のヘッドバッヂを装着することが、道義上許されるかどうかという点である。 工房(ビルダー)にとって、ヘッドバッヂはその工房出生の証であり、誇りでもあるだろう。それを外して、無関係のヘッドバッヂを付けることは、誠に失礼な行為ではないのか。 昔も今も、そう考える人は決して少なくないだろう。 しかしこの問題は、一面的に考えうるものではないと思う。 “ヘッドバッヂ(ステッカー)なんか外して、好きなようにすりゃいいじゃん”という態度なら失礼極まりない。 そのブランドに対する敬意を失うことなく、オーナーと工房の双方が十分なコミュニケーションを取り、互いに納得した上での事ならば、それは許される事だろう。赤鬼亭さんのケースは後者に違いない。 そんな事を考えていると、ついつい突き詰めて考えてしまう。 (世界に一台しかない、自分だけの自転車というのは何だろう?) 考えるまでも無く、答えは出ている。 自分が愛情を注ぎこめる自転車が、それなのだ。たとえそれが、買い物用自転車でも、ロードマンでも、他人様から譲り受けた中古車でも、舶来パーツ満載のフルオーダー車でも。 それでも少しだけ、欲を出して考えてしまう。どうせなら人とは違った車体が欲しい。自分だけのアイデアを盛り込んだ自転車にしたい。特殊工作もしてみよう。なにより、自分の体型にピッタリ合ったフレームが欲しい。 こうなるともう、オーダー車しかない。 しかし、オーダーする事によって、本当に『世界に一台だけしかない自転車』が出来上がるのか? 東叡社のフレームの場合、スタンダードフレームという、いわばセミオーダーのシステムを設けている。サイズを指定した後、特殊工作等を追加するものだ。勿論色も自由に決められる。自分でスケルトンを指定できる超ベテランでなくともTOEIフレームを入手できるので、入門者にとっては実に敷居が低い。初心者でなくとも、特殊工作を必要としない人にとってはこれで十分だろうし、少しでも安く済ませられる。 しかしこれとて、厳しい人に言わせれば≪オーダー車≫と呼ぶには相応しくない様で、 『ラグは出来合いの中から選ぶだけ。特殊工作といってもワイヤー内臓くらいしかないし、スタンダードフレームのTOEI車が並んでいても、付いてるパーツを別にしたら色が違うだけじゃないか。』 この論法でいけば、スタンダードフレームに関しては天下の東叡社の自転車といえども(仕上げの美しさはともかく)程度の差はあれマスプロ車と同列で、ただの量産車と変わらない事になる。乱暴な言い方ではあるが、理屈は理解できる。 『自分だけの自転車(フレーム)』、その定義の構成要素の一つに間違いなく挙げられるのは、オーナーの体型・乗り方に合ったスケルトン(設計)だろう。それらは千差万別、同じものは無いからだ。こうなるとスタンダードフレームでは賄えない。フルオーダーしかない。そこで初めてラグカットや凝った特殊工作をどうするか、という議論の場に足を踏み入れる事になる。 この≪(極論かもしれないが)スタンダードフレームは量産車、フルオーダーこそがオーダーのだいご味である≫という論に対して私は、確かに一理ある、と頷いていたものだ。しかし後年、これに対しての反論を耳にする事になる。 『スケルトン指定を含めたフルオーダーにはそれなりの知識と経験が必要だ。自分の愛車を組みたくて、東叡社の自転車が欲しくて、それでオーダーする入門者だっている。そこでスタンダードフレームを否定(卑下)する事はあまりに偏狭ではないか。オーダーというものは、そんなに間口が狭いものではないのではないか。』 成程、と思った。極論を重ねる事になるが、スタンダードフレームをオーダーという考えから放り出すという前提なら、(同じ形が)世界に一台しか存在しないフルオーダーフレームを作るのに必要な知識と経験を身に着けるまで、入門者はずっとマスプロ車に乗り続けなければならない事になる。 これはもう、どちらが正しいと言えるものではない。価値観の違い、としか言いようがなく、いくら議論してもかみ合う事はないだろう。本人がよければそれでいいのだ。 いや、だが、しかし。それでもなお、しつこく考えてみる。 例えば、世界に1セットしかない完全オリジナルのラグカットを考案しようが、自分に合ったスケルトンで設計しようが、その工房(メーカー)のフレームは他にもたくさんあるのだ。たとえヘッドバッヂやステッカーをオリジナルのものに替えたとしても。そもそも、フレームパイプは量産された既製品ではないか。 『本当に世界に一台だけしかない自転車』を作るのであれば、フレームパイプから自作せねばならないのだ。ラグも、そしてパーツ一式全部・・・ ここまで考えて、全くもって馬鹿馬鹿しくなってきた。 結論は大昔から出ている。もう一度言おう。 オーナーが愛情を注ぐかけがえのない一台。それこそが『世界に一台しかない自転車』なのだ。 たとえそれがマスプロ車だろうが、フルオーダー車だろうが。 それ以上考える事も、議論する必要もない. これが私の現在の考えである。
by james_y1964
| 2015-08-16 21:27
| 『Project究極のランドナー』
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Comments(20)
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ぬうぼマン
at 2015-08-17 18:58
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ふふふふふっ・・・思わず「ニヤリ( ̄▽ ̄)」としてしまいましたよ。これこそサイクリングを始めて自分の自転車について考え始めた時から延々と続いている、そして自問自答しているテーマですね。
まあ、感情的な結論はすでに出ている問題ですが、実際に「これが究極のオリジナルだ」と言うためには、ラグの削り出し程度ではとどまらずトーチを片手にロー付けの修行に邁進する他ないのです。既にやっている方も多数おられます。 更に進めばパーツ等の手作りや本来既製品を使用する部分まで自分の工房の内製という事にたどり着くのです。 でもそこまでやると走る時間が無くなります(笑) 幾つまで自転車に乗れるのかは解りませんが、乗れるうちに乗って楽しむというのが私のサイクルライフの結論です。 まあ、メカは程々に・・・
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james_y1964 at 2015-08-18 05:02
ぬうぼマンさん、分かって頂けましたか!
最近はトーチを握り始める方々が増えてる様で(笑)。 しかしやっぱり、パイプを作るところからはじめなきゃ。 いや、その前に鉄鉱石採取からかぁ? ・・・キリがないのですよ、これ言い出したら(笑)。 そうです、走る事の方が大事なのです! サイクリストは走ってナンボなのです。
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matrasimca
at 2015-08-21 01:08
> オーダーフレームに工房と無関係のヘッドバッヂを装着することが、道義上許されるか
その昔、親戚がヨーロッパに留学して、そのお土産に貰ったのが観光地のヘッドバッジでした。パイプに合わせて湾曲しておりヘッドチューブに止められるようにピンの穴まで付いていましたから、道義上許されるものだと思います。
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SANGO22000
at 2015-08-22 10:03
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>本人が良ければそれでいいのだ。
私の見解としてはこの言葉が結論です。 マスプロ車は見た目は同じでもすべて違う個体という理解をしており乗り味とかも実は違います。特に使い込んだ車体は乗り手の使い方が染みついている・・と思ってます。 それにフレームにつけてしまった傷だってその車体にしか無い唯一無二のものだと思ってます。 まあ、自分的には数十万もするフルオーダー車なんてもったいなくって道具として使えない様な気がするので、オーダー車を買わない屁理屈をこじつけてるだけなのかもしれませんけどw
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真由美
at 2015-08-26 11:39
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オーダー車とは、自転車の性能に関わるフレーム設計を指定したもの、とは、行きつけのお店のご主人さん言でした。既製にあるフレームのどこかを指定したり、部材を換えても、オーダー車とは呼ばず、何といっていたのか、いや、これも、オーダー車といってられました、そこのご主人さんも。
オーダー = 注文制作 ですよね。注文がなかったら、作られることのなかった品。つまり、掘らなかったら、出来ていなかった(過程は省略)我が子と同じです(?)。よって、市販車、レディーメイドフレームは貰い子となりますね。因みにヘッドマークほか、マーク類は、その親の名前を書いていることとおんなじ。子供の額や横腹に。普通は書きませんよね、子供の体に親の名前なんて。いや、名札に苗字、名前は入れるでしょうか。この場合、東叡太郎となりますね。苗字を入れず、太郎だけを書く場合、その赤鬼亭さんと同じになりましょうか。それと、BB裏に、TOEIの文字が入っていませんか?。親はTOEI。どこかに入っている筈だけど。DNA鑑定など出来ない、自転車フレームです。大体は分かっても、決め手になるものを見出せるのかな。見た目を真似られたら、分かりませんしね。^^
はじめまして。TOEIのランドナーは憧れでした。
高校生の頃に自転車仲間のおにいさんから譲ってもらった TOEI のロードフレームには、ヘッドマークもステッカーもありません。唯一、東叡社が製作したという証しはRエンドの刻印だけです。 譲ってもらった当初は、Fフォークのチネリ肩部に死神の輪郭が描かれた不気味な黒いロードフレームでした。あまりに不気味だったので削って消しました。今思えば、残しておくべきだったなぁと思っています。 TOEI ブランドに憧れた私は、工作の美しさはちょっと分る程度で、撓り具合や漕ぐ人の疲労具合などの評判を知りません。もちろん、そういったものも含めてスケルトン等を注文するのでしょうけれど、私は東叡社にアクセスしていませんでしたから、注文する実感がありません。でも、いまでも少年時代の憧れを大事に抱いています。 私は厳密な意味でのオーダー車じゃなくてもいいと思っています。一般的なスケルトンと調子のフレームに身体が合うのなら、私のは吊るしのフレームでも良いと考えます。それは少年の頃から親しくさせていただいているフレームビルダー氏が私の注文を受け付けてくれずにマスプロ車を勧め続けることに影響されています。世界に一つのフレームではないけれど、部品選択で個性的な私だけの自転車になる、と自分を慰めています。
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james_y1964 at 2015-08-27 21:33
コメント頂きました皆様、レスが遅れます事お詫びします。
ここんところ本業がかなりハードで、死にそうなのです。 本日、ようやく峠は越えました。 週末には落ちついてPCに向かえると思いますので、 今しばらくの間、失礼させて頂きますこと、ご容赦下さいませ。
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james_y1964 at 2015-08-30 05:13
matrasimcaさん、そうそう、私が当初付けようとしてたのがそれなのです。イタリアの有名な、ギサロ教会のヘッドバッヂ(お守り?)。結局TOEIバッヂ装着で納車となりましたが・・・
私はヘッドバッヂの付け替えを全否定してるわけじゃありませんから、その辺は言葉足らずですが文脈から汲んで下さいねー。
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james_y1964 at 2015-08-30 05:16
SANGO22000さん
御意。もう、結論は出てますよね。わざわざブログで論じる事もなかったんですが、一度は語って見たかったテーマでして。 道具は道具。オーダー車もマスプロ車も、使ってナンボ。大切なのは、それを愛する心なのでしょう。
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james_y1964 at 2015-08-30 05:21
真由美さん
当時の私の考えでは、別に東叡社でなくてもよかったのですよ。最高と言われる工房がたまたまそうだったわけで、ブランドに対する思い入れはさほどありませんでした。せいぜい『天下の東叡』ってイメージくらいで(これもイヤミっぽいフレーズだなあ)。 つまり、あくまで主体は自分自身で、工房を単なる鍛冶屋さん、ととらまえていたわけですね。 こんなんじゃあ、ヘッドバッヂを付け替える事は・・・・やはり誉められた行為とは言えないんじゃないかなあ。
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james_y1964 at 2015-08-30 05:31
素人工作日記さん、初めまして!
私もまったく同意見です。 実は35年前、シルクではなくてベニックスのランドナーを購入していれば、ひょっとしてオーダーなどしなかったかもしれないのです。 当時の考えは『マスプロ車に自分の希望する条件がそろっているのがあれば、それで十分。オーダー車はぜいたく品』というものでしたから。 (いろいろあって、結局オーダーすることになりましたが) ビルダーさんの対応にも、うなずける部分はありますね。昔はよく、初心者のオーダーを受け付けてくれない頑固なビルダーさんのエピソードを耳にしたものです。
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at 2015-08-30 19:31
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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ミウラSV
at 2015-09-12 10:44
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オリジナルヘッドバッヂですが、例えばヘッドバッヂはビルダーのブランドで、シートチューブなどにオリジナルのバッヂを付けてもらうのはどうでしょうか?
自分はヘッドバッヂにケルビムのCマークを付けてもらったフレームのシートチューブにケルビムのステッカーを貼ってもらいました。(オリジナルではありませんが) あとはそれぞれの自転車の名前を自分でデザインした案を渡してステッカー作成して張ってもらってます。 色々と考えて皆さん独自の考えもあり、奥が深いとつくづく思います。
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james_y1964 at 2015-09-13 05:50
ミウラSVさん、ステッカードレスアップという手もありますね。
>それぞれの自転車の名前を自分でデザインした案を渡してステッカー作成 ・・・同じ事考えて、やっちゃいました。とりあえず貼ったのはスポルティーフだけですが(作成はご存知、Hさんにお願いしました!)これだけでも確かに個性が出ますね。 シートチューブへのバッヂ、現在一つ案があるのですが、それはまた別の機会に・・・!
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at 2015-09-22 09:50
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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at 2015-09-24 11:31
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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james_y1964 at 2015-09-27 11:26
内緒のⅮさん、お返事遅れて失礼しました!
TOMから帰宅後、予想通り予定通り、連日の激務が待っておりました故(涙)。 それにしても、ようやくお会いできましたね(笑)。次はそちらで合宿しませう。ツヨシのタイヤも交換して、来夏はぜひキャンプを!
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james_y1964 at 2015-09-27 11:29
内緒のkさん、その節はお世話になりました!
なるほど、そんなものもあるのですね。 私が最初に憧れたのは、サイスポで紹介されてたスイスのギサロ教会のお守り(?)ですが、あれはどちらかというとツーリストというよりレーサー向け、とどこかで読んだ事がありますが。
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nakano
at 2018-01-05 02:33
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20歳代、だぼだぼのYシャツは嫌でした。そして、Yシャツのオーダーに走りました。
重い自転車は嫌でした。そして、自転車のオーダーに走りました。走る。あるいは輪行(先月も輪行しました)するたびに、ここをこうすれば-です。今、先月に納品されたフレームに現行車の部品を移植中です。年金暮らし故、人生最後のオーダーフレームとなるでしょう。当然、ビルダーとの面談発注です。出来ませんと言われれば要望撤回です。軽量化のため、部品点数減=結果、自作です。結果、世界で1台?なのかも。おやすみなさい
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james_y1964 at 2018-01-07 21:08
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