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2015年 04月 12日
熟睡した朝の目覚めは実に気持ちが良い。早朝5時に起床、温泉の朝風呂を堪能。朝食までに時間があるので、その前に加太の街並み散策に出かけようと思う。
お湯良しのお勧めの宿! これがまた、美味この上なし。 玄関横の自販機裏に停めていたウララの無事な姿を見て、一安心。昨夜は流石に屋内に入れてやる事が出来ず、表から見えない場所に駐輪するのが精一杯だったのだ。 『あっ、ご主人さま、おはようございます。昨夜はよく休めましたか?』 『ああ、ぐっすり寝た。早速だが出かけるぞ。朝日はもう昇っている。』 『こんなに早くですか?まだ6時半ですよ。』 『散策ってのは、夜が明けさえすれば可能だ。時間の有効利用という点において、私の様な朝型人間は実に経済的だと思わんか?』 『そ、そうですね、たぶん・・・』 『まずはここからすぐの所、人形供養で有名な淡嶋神社を参拝するとしよう。』 ところが境内入口には≪朝7時までは立ち入りを禁ず≫の立札が。いきなり出鼻をくじかれてしまう。 悪戯対策? 『ご主人さま、たまにはこんな事もあります!』 『そ、そうだな。30分も待つわけにはいかん。次行ってみよう。』 ウララに気遣われつつ、来た道を引き返す。後でまた来ればいいだけの事だが、段取りが狂った口惜しさから、後日改めて参拝する方向に心が揺れている。 散策ルートが掲載されている。加太観光案内所で入手可。 和歌山市の中心部から10㎞ほど離れた海辺の町、加太の歴史は古い。 古来より四国・九州へ続く南海道の海の玄関であり、江戸時代においては参勤交代のルートとして、大いに栄えた港町であった。 『ふむふむ、ここから紀伊国屋文左衛門がみかんを運び出したそうな。勝海舟も泊まった事があるらしい。』 昨日、観光案内所でもらった散策マップを広げながら、見どころを再確認。 『どおりで、家並みに歴史を感じさせる味わいがありますね。』 『奈良時代に役行者が籠って修業した堂がある。これはぜひ行かねば。』 “役行者堂”は、117段の石段の上にあった。ウララを肩に担いで登り切りると、加太の町を一望する絶景が待っていた。 一旦宿に戻り、朝食を済ませてから、いよいよ二日目のスタートである。 加太の見どころを一通りカメラに収め、我々は再び和歌山を目指して出発。 一つ買わねば。 警察署として使われた事も。 明治45年建設で、シンボルだったトンガリ鬼瓦は取り外され、 ホームに保存されている。 『加太の町、良かったですね!』 『うむ、最近話題の友ケ島もあるし、ぜひ再訪したいものだ。ところで今日は、ある方と一緒にサイクリングする約束をしていてな。』 『えっ!そうなんですか?』 約束のお相手は和歌山在住の“Huret2100さん”こと、Kさん。和歌山訪問を決めたのが急だったので、失礼とは思いつつ、ダメ元で今朝未明にメールを送信。昨夜携帯電話に連絡を頂き、今日一日、おつきあい下さるとの事。 『和歌山駅前で合流する予定だから、お行儀よくするように。』 『はーい!』 Kさんは生粋のシクロツーリストであると同時に、3年連続してスーパーランドナーを達成した健脚の持ち主である。シクロツーリスト誌Vol.6(グラフィック社)に寄稿された『普通のシクロツーリストも走れるブルベ』というタイトルの記事は、まさに“普通のシクロツーリスト”必読だ。 JR和歌山駅に着いたのは、約束の9時丁度。Kさんとお会いするのは、2年前の御前崎オフ以来だろうか。地下道を上がって東口に出ると、愛車とともに立つKさんの姿が見えた。嬉しい再会とはいえ、非常識ともいえる急な呼び出しに付き合って頂き、恐縮至極である。 『いえいえ、私も今日は走りに行こうと思っていましたから。』 『もうお任せで、お勧めコースがありましたら、よろしくお願いします。何せ、昨日は貴志駅と加太しか行ってませんから。』 『それにしても男前なギア比ですねえ。これじゃ山岳コースはちょっと厳しいかな。』 『・・・できれば平坦コースでお願いします。』 ウララはインナー・ローで38×23T。とても山道は登れない。Kさん曰く、ワイドレシオでなければ、山岳エリアの和歌山では生きていけないとの事。 自転車談義は尽きないが、キリが無いので出発。十分な下調べができていないうえに、まともな地図も持参していない。今回は完全にKさんの先導におんぶにだっこである。 『とりあえず、和歌浦へ向かいましょう。』 Kさんの後について、海岸線の道路を南に進む。突当りを右に曲がって急坂を上ると、廃墟化したホテルが見えてきた。 『寅さんの映画のロケに使われたホテルなんですけどねえ・・・あ、着きましたよ。』 『・・・・おおお、これは絶景!』 路肩の展望スペースに停車して見下ろせば、波静かな海に突き出した、一風変わった半島が見えた。その上面は芝生が敷き詰められ、言われなければゴルフコースにしか見えない。ここが有名な番所ノ鼻(ばんどこのはな)で、かつて紀州藩が遠見番所を設けた要所である。 この辺りはKさんの“お散歩コース”との事。半島のアップダウンを楽しんだ後、紀州藩ゆかりの不老橋や片男波の海岸を訪問。道なりに次々と現れる景勝地や歴史スポットに、羨ましさを覚えてしまう。 『ですね、どうせならツーショットで。』 撮影に際し、クランクの位置に抜かりがないKさん。流石! 『やっぱり紀州徳川家のお膝元ですから、立派な社寺仏閣が多いのですね。』 Kさんの説明に頷きつつ、紀三井寺の前を通る。桜の名所として有名で、立ち寄りを検討していたのだが、開花はまだ先の様だ。やむを得ず素通りして、JR紀勢本線沿いの快適な遊歩道を走っていると、またまたKさんの嬉しい情報が。 『実はこの道、かつての南海鉄道の廃線跡を利用した道でして。』 『おお!いわれてみればいかにも廃線跡!』 『ほら、そこにトンネルも残されてます。』 『おおお!!』 完全にツボにハマった私のはしゃぎっぷりに、Kさんは呆れていたかもしれない。 トンネルを抜けると、その先はもう海南市中心部。漆器製造が盛んだった黒江(くろえ)の古い街並みを散策した後、ルートは次第と海岸エリアから遠ざかっていく。 いつの間にか、辺りは山里の風情を感じさせる風景に変わっていた。鳥居を満開の桜が彩る神社の前で小休止。 『ここは小野田神社。ルバング島から帰還した小野田少尉をご存知でしょう。あの小野田さんのご実家です。』 『ほほう。』 『さて、そろそろ林道に行きましょうか。』 『・・・』 『・・・押しましょう。』 神社の裏手から延びる、急こう配の坂。とてもクロスレシオのスポルティーフでは登れそうもない。が、自転車談義をしながら押し登る坂道の、なんと楽しい事か! そこから先は、地図を持参しなかた事が悔やまれてならない、味わい深くも名もなき県道。そして民家の隙間を抜ける謎のルート。Kさんの先導なくしては、とても入り込める領域ではない。和歌山の無限に広がる山岳エリアからしてみれば、入口付近でしかないだろう。それでも和歌山の峠道への憧れを私に抱かせるのに十分な、何度でも走りたくなるコースであった。 『林道にしか見えないんですけど・・・』 息を切らせながらKさんの背中を追っているうち、見覚えのある風景が見えてきた。昨日貴志駅まで往復した、和歌山市の風景だ。充実感溢れたサイクリングの後は、昼食を取りながらのディープな自転車談義。至福の時間は、Kさんとの分かれの間際まで続いたのだった。 『ご主人さま・・・あっと今に終わりましたね、和歌山の休日。』 帰りのフェリーに乗り込むと、ウララが満足そうにつぶやいた。 『ああ、また来たいな。今度はメイと、和歌山の峠を攻めてみよう。キャンプも楽しいだろうな、きっと。またKさんをお誘いしなくっちゃ。』 『今度はもっと早めに、ですね。』 『あはは、確かに。』 和歌山への再訪を心に誓いながら、船室への階段を上ったのだった。 (この項、終わり) 本文中でも触れたとおり、今回はKさんには何から何まで、大変お世話になりました。改めまして、お礼を申し上げます。 Kさん、讃岐にもぜひお越しくださいね! 阿波野まいちゃんのそろい踏み。和歌山港ターミナルにて。
by james_y1964
| 2015-04-12 22:08
| 『スポルティーフで行こう!』
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Comments(12)
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北山
at 2015-04-12 23:45
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久々のサイクルツーリング、満喫されたようで何よりです。
ワタクシも和歌山方面は行った事がなく、 一度は走ってみたいエリアであります。 次は是非ともワタクシの地元へ、 峠でも古道・旧道でもご案内致します。
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Huret2100
at 2015-04-13 01:12
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お会いできてよかったです。また遊んでやってくださいまし。今度はもう少し中の方に行ってみますか。嶮道や酷道がおいでをお待ちしております。
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james_y1964 at 2015-04-14 05:10
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james_y1964 at 2015-04-14 05:13
Huret2100さん、おはようございます&本当にお世話になりました!
和歌山の奥の方となると、今度はきちんと地図を用意していきますね!あと、もっと早めに連絡を入れる様に・・・(汗)。 嶮道・酷道、ああ、なんて良い響き・・・!
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田中真由美
at 2015-04-19 09:20
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剣山周辺へのサイクリングのとき、徳島和歌山間の高速船を使わせて貰ったことが。今はないようですね。そのフェリーの夜行便をそれの四国は徳島、高知行きのプランも持っているけど、いつになることか・・。和歌山市周辺は実走なしです。結構な数を走っている和歌山ですが。そこ黒江は良さそうですね。山から川を行くことが多い、紀伊半島内です。四国の山中とは違う独特な雰囲気がありますね。ジェームスさんの次は、おいでませキャンピングランかなあ。夏はそこそこ涼しいですよ。たとえ海辺であっても。夜中はです。^^
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やの
at 2015-04-19 22:51
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和歌浦に廃線跡、あとは細道と密度の濃いサイクリングを楽しまれたのですね。わたしも25日、400kmブルベで和歌山をぐるっと回ってきます。 Huret2100さんはスタッフかな?
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パスハンター
at 2015-04-19 23:54
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2010年11月の記事に惹かれて来ました。
当時の貴重な情報を知る世代が残って居て非常に有難かったです。 その後、パスハンター計画はどうなったのでしょうか。 個人的にはスポルティーフやランドナーより 万能なのがパスハンターと認識しています。
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james_y1964 at 2015-04-24 20:36
田中真由美さん、こんばんはー。
初、和歌山でございました。いやー、よかったです。 キャンプもいいですよねえ・・・山は覚悟を決めて、装備をしかり準備してからでないと、うかつには入っていけない? ともかく、にわか和歌山ファンになりました! ぜひまたご一緒しませう!
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james_y1964 at 2015-04-24 20:38
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james_y1964 at 2015-04-24 20:46
パスハンターさん、いらっしゃいませ!
えーっと、2010年に記事といいますと・・・あ、私のパスハンターですね。完成した姿はこちらに。↓ http://james1964.exblog.jp/15588042/ (現在、多少の変更はありますが) パスハンターが最高に万能かどうか、というお話は、その前にパスハンの定義を定めなくちゃダメですが・・・この話は長くなりますのでまたの機会に! (私のパスハンは主に舗装路の峠道を前提としてますが、人によっては“そんなんパスハンとは呼ばない”とも言われそうですし)
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パスハンター
at 2015-04-24 22:52
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ジェームス様、パスハンターのご紹介ありがとうございました。連絡掲示板が荒れてしまっていたので、とりあえず、パスハンターネタで埋めました。ALPSクライマーを意識されているのかと思いましたが、全体も細かい部分も大変素晴らしい仕様で感激致しました。古くからやられている、この世代以上の方は、やはり分っていると痛感しました。また素晴らしい自転車を紹介下さい。
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james_y1964 at 2015-04-29 04:49
パスハンターさん、お褒めに預かり恐縮です。
フレームといいパーツといい、自分では案外地味~な構成になった気もしますが、このマシンは比較的乗り倒す感覚で組みましたので、あまりお上品な特殊工作はあえて行わなかったのです。それが個性っちゃ個性かな? そうそう、荒れ果てた(笑)掲示板の件、ありがとうございます。なんか妙に盛り上がってますねえ。
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