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2013年 12月 23日
10時20分。悪戦苦闘の末、卯辰越に到着。標高はわずか240m程で、この程度で疲れていたらサイクリストとしては恥なのだが、さほど小さくないインナーギア(38T)を言い訳にしておこう。切り通しの脇には旧峠道に続く遊歩道が伸び、峠名の由来となった“をたつ石”が祀られているのだが、自転車を担いで登れるような道ではないのでパス。
“卯辰峠”、旧峠を“卯辰越”と区別している。そちらが理にかなっていると 思うが、国土地理院の二万五千図では新道を卯辰越と示しているので、 本稿ではそれに従う事にする。 『さて、体が冷え切らないうちに一気に下ろう。』 『この後のスケジュールは?』 『下ってから考える。』 勢いよく下ると、あっという間に下界に到着。坂が終わる頃、左手の道路脇に広い駐車場が見えてきた。 『ご主人さま、≪大麻比古神社・西門≫ってありますけど。』 『うん、後で寄ろう。せっかくだから表参道からな。』 阿波国一宮、大麻比古神社には正面から参拝しなければならない。理由は後述するが、とりあえず素通り。更に下ると、中央にドームが立つ西洋風の建物が現れた。鳴門市ドイツ館である。 至極真面目な施設である。 『徳島の鳴門市にドイツ館?どういう関係があるんですか?』 『第一次世界大戦の際、この近くの坂東捕虜収容所の所長が、捕虜のドイツ兵の人権を尊重した待遇を取ったという史実があってな。以後、ドイツとの交流が深まったという事で建てられた施設だそうだ。』 『それでドイツ館なんですね。勉強になりました!』 『近年、その歴史が松平健主演で映画化されたんだ。タイトルは≪バルトの楽園(がくえん)≫。映画のセットは残されて、公園になっているらしい。』 『それでご主人さま、ドイツ館は見学していくんでしょう?』 『いや、見学は後日、映画を見てからにしよう。その方が、より理解が深まる。』 『まさか入館料が要るからって訳では・・・』 ウララの声を無視して、併設する道の駅で休憩。≪道の駅 第九の里≫の名は、件の捕虜収容所で日本で初めてベートーベンの『交響曲 第九』が演奏された事から付けられた由。物産館の建物は、当時の捕虜収容所を移築・補修したもので、なかなか気合が入っている。すぐ隣にはドイツビールやソーセージの売店もあるが、サイクリングの途中で飲めないのが残念だ。 『お?あっちにも何か施設があるぞ。』 レンガ造りの建物に近付いてみると≪賀川豊彦記念館≫とある。 『ふむふむ、キリスト教社会運動家として有名な方らしい。うーむ、これはなかなか有意義な施設であるなあ。』 入り口から覗くと、入館料は大人200円。 『しかしまあ、あれだ。もうちょっと勉強してから再訪しよう。私はまだ、賀川豊彦の事を何一つわかっちゃいない。』 『ご主人さま・・・』 昼食にはまだ早いので、先に大麻比古神社へと向かう。参拝した事は無いが、高速道路の高架からも良く見える赤い大鳥居がすぐに見つかるはずなのだが・・・無い。 『おかしいなあ、大きな神社だから、表参道は県道からすぐ見えると思っていたのだが。』 『あっ、ご主人さま、あれじゃないですか?』 見れば趣のある古い山門が県道に面して建っている。 『いや、違うぞ。あれは神社じゃなくて・・・霊山寺の山門だ。』 霊山寺は四国八十八カ所の一番札所。スタート地点だけあって、山門脇には遍路グッズを扱う店もある。 『せっかくですから、お参りしていきますか?一番札所ですし。』 『いや、八十八カ所参りは老後の楽しみに取っておこう。』 『素敵です!ご夫婦で巡る遍路路。長年連れ添ったお二人の人生を重ね合わせて・・・憧れます!』 『残念ながら、うちのヨメは社寺仏閣に全く興味が無い。行くなら一人遍路だな。』 『・・・・・何て言うかその、一人じゃありません。同行二人って言うじゃないですか。お大師様も一緒です!』 『・・・全然慰めになってないぞ。』 それはともかく、大麻比古神社の参道が見当たらない。ようやく霊山寺の山門脇に案内板を発見。どうやら霊山寺をぐるっと迂回せねばならない様で、『大きな神社だから参道は県道に面しているはず』というのは思い込みだったらしい。 意外と細い道を北へ進むと、ようやく巨大な赤鳥居が見えてきた。 『うわあ、すごく大きな鳥居ですね。あ、自動車も潜ってます!』 『この大鳥居、高速道路を走っていると必ず目に入る。前から一度、間近で見てみたかったのだ。満足、満足。』 『じゃあ早速お参りに・・・』 『いや、今回はこの鳥居だけでいい。さ、次行こ。』 『えっ?せっかく来たのに?』 興味が無い訳ではない。いずれ徳島と池田を結ぶ撫養(むや)街道をサイクリングするつもりだが、その時の楽しみに取っておこうと思う。ウララにはそれまで内緒にしておこう。 ラーメンを食べて、サイクルサイエンスで携帯工具を購入。あとは帰るだけである。 近世になって治水工事が施され、現在の姿になった。 板野町に入って一路北上、大坂峠を目指す。当初、峠手前のあせび温泉に浸かろうと思っていたが、早く帰りたくなってきたのでこれもパス。なんとなく旧道に入り込み、阿波大宮駅周辺をウロウロするうちに、旧峠道の入り口が見えてきた。 『ここまで来たら、遊歩道になってる旧道を登ってみよう。ダートだけど、どうせ押すから何とかなるだろう。』 『ダート、ですか・・・』 しかしこれは明らかに失敗。旧峠道の路面は思った以上に荒れていて、26Cのウララには荷が重過ぎた。押しとはいえ、岩が露出した路面が彼女のホイールを無慈悲に痛めつける。 『ご主人さま、私には無理です!激し過ぎます!あぁっ!ああぁ~っ!』 『だからそんな声を出すなっちゅうのに!』 『ご主人さまの意地悪~っ!!』 峠を下れば、予想通り予定通りの向かい風。70kmに満たないサイクリングだが、帰宅する頃にはヘロヘロになっていたのであった。 (この項、終り)
by james_y1964
| 2013-12-23 07:13
| 『スポルティーフで行こう!』
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Comments(3)
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at 2013-12-27 22:48
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
あけましておめでとうございます。
もう一台増えるんですね、楽しみです。 霊山寺まえ・・・懐かしいです、僕も零戦で行きたかったな・・・ 納経・御朱印その他で滞在最低30分、停めっ放しのセキュリティーを考慮して断腸の想いで盗られても遍路断念せずに済みそうなチョイスでしたが、やはり正統旅ジテは何処に持って行っても絵になりますねえ! 今年もよろしくお願いいたします。
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ジェームス吉田
at 2014-01-02 12:13
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斉藤電鉄ryuさん、あけましておめでとうございます!
もう一台増える予定・・・ではありますが、無事レストア完了するかどうか。ちなみにヨメにはまだナイショです(フレームはバレてるんですが、まだガラクタっていう認識ですので)。 停めっぱなしのセキュリティー>分ります分ります、しかも長丁場ならなおさらですものねえ。次回はぜひゼロで来県を! そうそう、せっかくこちらにお越し頂いたのに、挨拶にも行けず失礼しました! 何はともあれ、本年もよろしくお願いします~。
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