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2013年 09月 22日
高松から真南に徳島県に向かう幹線道路、国道193号線。地元では塩江街道と呼ばれるこのルートは、阿讃の峠の一つ、清水峠を越えて徳島県美馬市(旧脇町)に至るのだが、江戸期の街道は清水峠を通過しない。塩江温泉から西へ別れ、相栗(あいぐり)峠を越える徳島・香川県道7号線こそが、江戸期に賑わった旧街道なのである。
相栗峠は井出孫六氏編纂の『日本百名峠』にも選ばれ、峠ファンの間では広く知られる存在だろう。しかし私が注目したい点は別にある。 日本中の旧峠道の大半は明治期以降、自動車の通行を前提とした新道が整備された。峠においてはトンネルや切り通しになったり、全く別ルートでバイパスが敷設される事も珍しくない。しかし相栗峠周辺は完全ではないが、かつての旧街道のルートをほぼトレースして車道化されているのである。 これは『旧街道の峠を自転車に乗って越えたい』という我々サイクリストにとっては非常に嬉しく、かつ貴重な例と言えよう。阿讃の峠の中でも歴史的な意味合いは重く、峠越えのみならず、旧街道巡りの魅力も併せ持つコースでもある。 さて今回の峠越え、起点を何処に定めるか。 高松城からスタートするのではアプローチが長過ぎる。塩江温泉にクルマをデポしてスタートする手もあるが、旧街道巡りを兼ねての峠越えとしては中途半端は否めない。何か必然性が無いとスッキリしない性質(タチ)なのだ。 そこで街道の成り立ちに目をやると、納得いく起点は容易に見つかった。それは仏生山の法然寺である。 仏生山街道(赤坂往還・安原往還・相栗峠)概略図。 法然寺は阿波へ向かう街道途中の仏生山地区に建立された、高松藩主の菩提寺である。以下、今回の峠行のテキストとなる≪仏生山「街道」調査報告書/香川県教育委員会≫より引用させて頂く。 ここにおいて高松城下と相栗峠を結ぶ道筋は、経済的だけでなく参拝道という宗教的な意味を盛った道ともなったわけである。そして、法要の度に藩主の行列が通る様になった高松城下と仏生山を結ぶ道が整備され、ここに仏生山街道として成立したものである。また、仏生山街道を経て相栗峠に達する道も、仏生山という求心的なポイントを持ち、讃岐と阿波を結ぶ道としての存在が一段と高まり、安原往還として成立したと考えられる。 相栗峠へ向かうにあたり、何と説得力のある出発点ではないか。私は自己満足にニヤニヤしながら荷造りを始めたのだが、週末に向けて台風直撃のニュースが飛び込んで来たのであった。 9月16日(月)敬老の日。法然寺に隣接する仏生山公園の駐車場にクルマを停める。相栗峠を越えた後、比較的勾配の緩い国道193号線を自走で引き返してくる予定にしているが、後に後悔する事に出発時点ではまだ気付いていない。真っ暗な曇天だが、幸い雨は止んでいる。昨日は暴風雨に洗われた県内全域だが、頭上を覆う分厚い雲は午後には立ち去る筈だ。 法然寺で記念撮影後、8時丁度に出発。寺の正面の小山に祀られているのは滕(ちきり)神社で、資料によれば旧街道はその東側を巻いているとの事。旧家の脇のそれらしい細道を抜けると、住宅街を抜ける車道が現れた。かつて赤坂往還、安原往還と称された旧街道だが、今ではありふれた生活道である。緩やかな坂道が繰り返される普通の道路を、心の中で無理やり旧道ロマンと結びつけながらペダルを踏む。 持っていた事からその名がつけられたそうな。 門前町として、大いに栄えた時代を持つ。 平凡な風景が続く現在の旧街道。地元民以外は国道193号線を南下するだろう。 当然、私も自転車で走るのは初めてである。 さして面白みのない道路だが、朝の風が秋を感じさせてくれて心地良い。途中、赤坂集落あたりは高松市指定無形文化財・ひょうげ祭りの開催地。祭りに合わせて訪問したかったのだが、あいにく今年の実施は一週間前。 写真を撮りながらのんびり走る事、小一時間。ひょうげ祭りにその名を残す、矢延平六が築いた新池に到着。旧街道は池の脇を過ぎ、国道193号線に合流する。 濡れ衣を着せられ、追放される。 橋は残っていない。一応チェックしただけで、来た道を引き返す。 奥に見えるのは空港への誘導塔。 ここから塩江温泉までは国道193号線と重なっており、路面が良い事意外はまるで面白見の無い道路が続く。こうなるともう、所どころに残る旧道を発見する事に楽しみを見出すしかない。今回は可能な限り、旧街道を踏破する事も目的の一つである。 こういうのは大好きなのである。 残されている。 分断された旧道を見つけるのは楽しいが、これがなかなか難しい。旧道との分岐を、ついつい、通り過ぎてしまうのである。 ふと見れば、山裾に旧道の細道が並走してている。 切り通しを振り返れば、旧道が脇を巻いている。 その度、意地になって引き返し、旧道を走り直す。そちらは当然遠回りなのだが、旧道・古道が発する磁力には逆らえない。 そんな事を繰り返しながら10時45分、ようやく塩江温泉に到着。相栗峠の実質的な取り付き地点である。 (続く)
by james_y1964
| 2013-09-22 08:38
| 『阿讃の峠と温泉と』
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Comments(3)
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ぬうぼマン
at 2013-09-30 00:55
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「旧道」いいですね~、自転車の旅は点と点を結ぶのではなくてアナログな旅ですので、道すがらの風景を追ってゆくのが良いと思います。
そこに「廃道入り口」や「旧隧道」や「廃線跡」なんかがあれば最高の旅になりますね。もちろん架け替えられて廃棄された橋なんかも良いですね。
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ジェームス吉田
at 2013-10-14 17:22
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ぬうぼマンさん、お返事遅れてすいません!
旧道にはどうしても惹かれますね。真新しいバイパスなんか自転車で走っても面白くもなんともない。 ・・・しっかし、こういうのってあくまでオジサン限定かもしれません。ウチのヨメは全く興味を示しませんし。
Commented
at 2013-10-17 21:16
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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