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2010年 11月 28日
商品構成の変遷に見るマエダ工業(株)の深層(前篇)
卒業論文の様な題目だが、肩の力を抜いて読んで頂きたい(無理か)。 今回サンツアーことマエダ工業の商品ラインナップを再確認する気になったのは、さんつあ~ひ~ろ~さんが愛車・アルプス・クライマーにARXの前後メカを装着した事がきっかけになっている。 ARXといえば80年代前半に発売されたサイクロンM-Ⅱの普及版として発売されたディレーラーセットで、マスプロ車にも多く採用された事からどうしても“下位グレード”の印象を拭い切れず、私も含めてマニア筋には敬遠されがちなメカだったと思う。 ところがこれを装着したひ~ろ~さんの愛車を拝見した途端、そんなイメージは吹き飛んだ。ARXのRメカ、とにかくカッコいいのである!『四国讃岐の片隅ミーティング』で実車を目にした時、その印象は確信に変わった。 ARXの美しさは、カタログ画像ではわからない。実車に組み付けられてこそ、その魅力が理解できるのである。 まずそのコンパクトさに驚いたのだが、もともとマイクロライトコンセプトに基づくサイクロンM-Ⅱと同設計なので小さいのは当たり前。軽合金のパンタグラフは流石にサイクロンと異なりプレス製だが、ちっとも安っぽさを感じさせない。シフトワイヤー固定ボルト貫通穴とともに、『ひょっとしたらサイクロンM-Ⅱよりも軽いんじゃないか』と思わせる程で、コストを抑えつつ上位機種と同等の小型軽量化を追求している点に、好感を通り越して賛辞を送りたくなる。表面仕上げの美しさも、Vxのそれとはまるで比較にならない。 少し褒めすぎかもしれないが、実は私はサイクロンM-Ⅱも含め、この頃のメカに関しては実物を目にする機会があまり無かった為(そこには上記先入観が無かったと言えば嘘になる)、今更ながらマイクロライト時代のメカの魅力を再認識した次第なのであった。 (ARXこそ、本格スポーツ車用普及版メカとして、ロードVxの正統な後継機種だ!) 私はそんな思いに駆られ、その裏付けを取るべく、往年のサンツアーの商品構成の整理・確認作業に乗り出した。勿論当時のカタログが手元にある筈はなく、参考資料は例によってGAMIさんのサイト≪追憶のカタログ展≫。ところがカタログを分析するに従い、そこに前田工業の営業戦略の片鱗が垣間見えてきた・・・気がするのである。以下、年代順にディレーラーを中心とするコンポーネントの商品構成の変遷について、個人的な視点から分析してみたいと思う。 なお、取り上げるのはRメカのショートケージ(レーシングタイプ)のみとし、一般車用を除くスポーツ用のグレード以上のものとする。価格は当時のカタログ記載のもの。掲載の順序はパンフレットでの紹介順だが、これはそのまま≪売れて欲しい商品の順≫と言えるだろう。詳細はGAMIさんのサイトを直接ご覧頂きたい。 82年カタログ 初代シュパーブ・プロ:7,750円 同・ノーマルモデル:7,250円 初代サイクロン:5,900円 サイクロンM-Ⅱ:5,900円 BL:4,700円 VX:2,900円 ARX:3,150円 前田サンツアーの黄金期であり、このラインナップに馴染みが深い人は多いだろう。M-Ⅱ登場後も初代サイクロンは併売されているが、同価格である事は意外と言えば意外。そのM-Ⅱと同時発売されたARXはカタログでは後に回されているが、その価格はVxを250円上回る。ゆくゆくはVxの後継の地位を約束されていたと思われ(これは私の思い込み)、この価格は妥当なところだろう。一応BLの方が価格の上では上位機種となっているが、実物を見る限り、その表面仕上げや洗練されたデザイン等、ARXの方がシンプルでスッキリした印象を持つ。 ちなみにFメカで比較すると、BLは3,000円でARXは2,250円。マイナーチェンジされたBLとARXの本体は同じ物の流用としか見えず、この価格差はどうも納得がいかない。BLのメンツを守る為に無理やり低く設定したとしか思えないのだが。 83年カタログ 二代目シュパーブ・プロ:9,800円 同・ノーマルモデル:8,250円 シュパーブテック:7,250円 サイクロンM-Ⅱ:5,900円 BL:4,750円 ARX:3,150円 Vx:2,900円 この年、シュパーブはフルモデルチェンジで2代目のエアロタイプに変身し、初代サイクロンは遂にカタログ落ちしてしまう。片やVxはしぶとく生き残り、本格メカのしんがりを務めている。 唐突に現れたシュパーブテッテクは、当時私は一方的にキワモノと決め付けて目もくれなかったのだが、後年の評価を見て反省。この“異端のテクノロジー”開発のプロセスは【サンツアーの全て】に詳しく書かれているので参照の事。価格だけで見れば、シュパーブに次ぐセカンドグレード扱いとなっているが、Rメカのみのノミネートだった事が販売上のネックになったのだろう。あまり前面に出る事が無いまま消えて行った悲運のメカ。 85年カタログ 二代目シュパーブ・プロ:9,800円 同・ノーマルモデル:8,250円 三代目サイクロン:3,900円 サイクロンM-Ⅱ:5,900円 ARX:3,150円 ルプリ:3,400円 シュパーブテック:7,250円 さて、問題の85年カタログである。ここで注目すべきは、それまでは価格順(つまりグレードの高い順)に掲載されていた商品群の掲載順序が大きく乱れている事だろう。 この年に三代目が発表されたサイクロンはトータルコンポーネントとして生まれ変わり、マーク-Ⅱはカタログ落ち・・・しなかった。併売となったのは在庫処分の為に違いない。しかし名跡こそ引き継いでいるものの、三代目の価格はM-Ⅱより2,000円も安く、サイクロンの格式に大きく傷を付けてしまった事は否めない。シュパーブに次ぐセカンドグレードの地位は案の定、直後に発売されたスプリントに奪われる事になる。 前回のカタログで鳴り物入りで発表されたシュパーブテックは、普及品のルプリより後回しにされると言う哀れな扱いで、正に気の毒と言うしかない。 よく分からないのが普及品として登場したルプリ。掲載順は普及品扱いだが、ARXより高く、サイクロンと比べても500円しか変わらない。 三代目サイクロンとルプリ。のっぺりとしたデザインはほとんど同じ様にしか 見えず、各グレードの差別化が十分に図られたとは思えない。 このあたりの商品構成が、後の販売不振に繋がっていった一因に思えてならないのである。コンポーネントを価格によってグレードを設ける際、デザインの差別化は重要なポイントだろう。この辺りの曖昧さが後のダブルテンション化の後にも引きずられ、シマノとの販売格差に拍車が掛ったのではないだろうか。 更に深読みすれば、この年のパンフレットの商品構成の乱れは、スラントパンタのパテント切れに合わせたシマノの猛追に対抗すべく、自社のコンポーネントを抜本的に見直しする正にその過渡期の現れ、とも見られるのではないか。 私の嫌な予感は的中し、前田サンツアーはゆっくりと、だが確実に凋落への道を歩んでいく。 (続く)
by james_y1964
| 2010-11-28 10:43
| 『サンツアーよ、永遠に』
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Comments(13)
シュパーブ、サイクロン・・・懐かしいですね。
中学の頃、自分と同じ様にチャリンコいじりしていた 友人達は、僕がデュラに傾倒するのに対抗するかの様に これら2機種のアッセンブルで 決めて?ました。 踏めもしないクセに デュラには無かった?53Tを、誇らしげに (重そうに?)回していた旧友の はにかみズラ が 今でも 目に浮かぶようです。
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ジェームス吉田
at 2010-11-29 18:10
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齊藤電鉄ryuさん、こんばんはー。
デュラ派、シュパーブ派・・・ああ懐かしい(遠い目)。 期間を置いては、サイスポで“対決”してました(笑)。 齊藤電鉄さんはデュラ派だったのですね?一連の記事、タイトルからしてスイマセン(苦笑)。私、根っからのサンツアー党ですのでーっ!!
追伸
当時、ロードレーサー用のペダルなんて そんなに種類も多くなく 大抵 三ヶ島のクイル2K 辺りが相場だった頃、友人が着けた シュパーブ・プロ ペダル は さすがに 羨ましかったです。 後年、デュラも、axシリーズになって 変てこなエアロペダルも ラインナップされましたけど、クランク・アッシー交換という 反則な販売展開に ついて行けませんでした。
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ジェームス吉田
at 2010-11-29 19:30
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齊藤電鉄ryoさん、うーん、確かにシュパーブ・プロだと見栄えが違うでしょうねえ。
デュラaxですか、ax・・・ax・・・まあ、あれはあれで(苦笑)。 >変てこなエアロペダル あ、これは私好き。というか、今オーダー中のスポ。ルティーフに装着予定!まあ賛否両論ですが。 >クランク・アッシー交換という反則な販売展開 DDペダルアダプターの事ですかね?アレは私も許せんです。ポリシーは無いのかあ!と言いたいですね!
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Dino
at 2010-11-29 20:49
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1982年 サンツアー創業60周年
当時はエアロブームの真っただ中で、なんでもかんでもエアロでしたね。 シマノのaxシリーズは商業的には大失敗でしたが、そのデザインやコンセプトが後に与えた影響は大きいと思います。 ちなみに私もサンツアー派でした。 ただこの頃のラインナップはあまり印象になく、個人的には初代サイクロンにとどめをさしますが、今こうやって当時の廉価モデルを見るとそれはそれで良い味があると思ってしまいます。 時間がたたないと分からない良さというものもあるのでしょうね。
DDペダルの匂いを嗅ぎつけて寄って来てしまいました。AXシリーズもオミゴト!あんなペダルも出す博打の打ち方はスゴイと認めざるを得ません。しかし、ペダルのエアロ化ということよりも、足裏三次局面で力を受けるところが素晴らしいですね。(アンチシマノ派なのですが、このペダルだけは別です。)このペダルへの複雑な愛は別の機会に・・・。サンツアーの終盤のパーツは消える前の星の光芒のように、ウォッ!と声を上げるようなきらめくパーツはまばらですね。私は85年以降では安くても個性がある(色合いはシマノの当時のものと似ているが・・)GPXが好きです。
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ジェームス吉田
at 2010-12-01 19:11
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Dinoさん、こんばんは。エアロブーム、当時私はわりと冷めた目で見てましたが、後世の評価はまだにDinoさんのおっしゃる通りとなりましたね。
>ただこの頃のラインナップはあまり印象になく >個人的には初代サイクロンにとどめ 一緒です、一緒(笑)。 >時間がたたないと分からない良さ そーなんですよ!当時、安物と侮っていたVXやARXの良さが分かり始めたのはごく最近の事なのです。特にARXは、カタログ写真じゃその値打ちは伝わりません。実車に組んでこそ(ちょっとしつこい・笑)
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ジェームス吉田
at 2010-12-01 19:16
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ddmさん、こんばんは!DDペダル、ちょっと私もウルサイですよ(笑)。まだ使ってないけど。ちゅーか、今から使うんですけど。
>ペダルのエアロ化ということよりも、足裏三次局面で力を受けるところが素晴らしい そうそう、エアロなんでどーでもいいんですよ! >アンチシマノ派なのですが、このペダルだけは別 異議無し!! >このペダルへの複雑な愛は別の機会に・・・。 ふふふふふふふふふ。こりゃDDペダル特集(勝手に好きな事を言うだけだけど・笑)せにゃいかんですなあ。乞うご期待!
三次局面ではなく三次曲面でした。(訂正!)
酔っ払ってのワープロは間違いの素でした。(笑) DDペダル特集の時は勝手にコラボさせてもらいます。 興味無い人は置いてけぼりになりそうなマイナー路線ですね。(大笑)
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k→ボンド75
at 2010-12-02 21:25
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ウルトラ、いえサンツアーセブンが一台目のサイクリング車に標準装備でした。次の女、いえBSツーリング車にVTラックス。三人目の家内、いえランドナーにはユーレージュビリ。4台目のロードは飛ばしてマウンテンにXC9000という履歴の私なんですが、考えて見ると、自分で選んだサンツアーリアメカはXC9000だけだったですね。4000とか6000とか9000とかは、シマノでいう600、500、400と同じように数字が大きくなると高級に?。
そのarxのパンダ部プレートが細くて格好いいー のでしょうか、ジェームスさん。私もそう思います。シェイプアップ?されたシュパーブプロが嫌で無理をしてカンパレコードを4台目ロードにアッセンブルしたぐらいです。サイクロンGTを今はなき大阪の骨董屋で買っていたのでキャンピング車(3台目ランドナー)につけてますよ。入門当時の憧れでしたから。サンツアーゼブンが後年すっーと併売されていたと最近知って、なんだか嬉しかったです。 柔和なイメージな頃までは好きだったんですが。どこで違ってきたのか・・・。インデックス仕様になったあたりでしょうか。(^^)
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james_y1964 at 2010-12-05 00:15
ボンド75さん、こんばんはー!
>そのarxのパンダ部プレートが細くて格好いいー ・・・のですよ。カタログ写真では正直、ちょっと安っぽいく見えますが、実物は、それも実車の組み付けられた姿を見ると、イイのですよねー。何でだろ? >インデックス仕様になったあたりでしょうか うーん、そうでしょうね。随分とグラマラスになったと思います。それとカラーリングが変わりました。その辺りはまた次回にー!
SUPERBE輪行袋 で 一本書きました。
http://ameblo.jp/ryushi-s/
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ジェームス吉田
at 2010-12-12 20:26
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齊藤電鉄ryuさん、レスが遅れて大変失礼しました!
拝見してきまーす。
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