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2010年 04月 10日
(前回より続く)
3月下旬の日曜日、スノーピーク(以下、SP)のコンパクトストーブ“地”の燃焼実験は本宮山(346m)へのハイキングを兼ねて行われた。山頂にある山小屋(休憩所)で、チタン製ソロクッカーでインスタントラーメンを作る。実験と言ってもズボラな私の事、水が沸騰するまでの時間を正確に測る筈がない。常識的な使用条件下で、常識的な使用に耐えるがどうかを確認する程度のものである。製品別の正確な性能対比データーを知りたい方は、申し訳ないが他の方のWPやブログを参照頂きたい。 『まだかなあ。』『もう少し待て。』という父子の会話。 燃料カートリッジはSP純正のギガパワーガズ110イソ(通称銀缶・詳細は後述)、小屋内は無風、ウインドスクリーン等は未使用。コッヘルはSPチタントレック900。そんな条件下において、出前一丁一パックに必要な湯は、5分足らずであっさり沸騰した。サイクリングに携行するストーブとしては、必要十分な性能と言える。実験、あっけなく終了。 いくら何でもこれでは何の参考にもならないので、少しばかり補足しておこう。 熱量 厳冬期の冬山や、夏でも低温となる高山でのテント泊での使用であれば、確かに不十分との指摘を受ける可能性はあるだろう。おそらく登山愛好家からのものであろう某巨大掲示板での厳しい評価は、それを前提とするものに違いない。 しかし私はこのストーブを一般的なサイクリングに携行しようとしているのであって、真冬の北海道や強風時の屋外、ましてや標高3,000メートルの高山で使うつもりはない。従って、私の使用条件ではこのストーブおよび燃料は、必要十分の性能を持ち合わせていると言える。 一つ注意が必要なのは、現在二種類用意されているガスカートリッジ(金缶・銀缶)の選択だろう。単純に言えば金缶は冬季(低温時)用、銀缶はそれ以外(常温時)用と区別されるのだが、『冬季用の方が熱量が大きい』『金缶なら一年通じての使用をカバーできる』と勘違いされる方も多いのではないだろうか。 他メーカーのカートリッジも同様だが、これらの違いは使われているガスの種類による。SPの場合、金缶は沸点の低いプロパンの配合比率が大きく、銀缶には沸点の高いイソブタンが使われている。プロパン使用のカートリッジは、当然の事ながら夏季の高温時には破裂の危険性が非常に高くなる。 残念な事にメーカーHPには各缶の成分表示はあるものの、具体的な注意事項や仕様区分については全く触れられていない。製品のイメージ写真にも金缶しか使われておらず、初心者は何も考えずにそちらを使うケースもあるだろう。メーカーには早急に改善して貰いたい。 サイクリングは春から秋がメインシーズンであり、少々寒くても自転車で走る(走れる)エリアには低温仕様のカートリッジは必要無いと思うが、真冬のサイクリングの場合には金缶で対応した方が無難だろう。 風対策 ほとんど風の入らない山小屋内での使用だったがそれでも時折、炎が揺れた。ギガパワーストーブ『地』は風に弱い、というより無防備といっていいだろう。それも当然、針金状の五徳が囲むバーナーヘッドは全くの剥き出しなのだから。 その点、五徳がプレート状になっているギガパワーストーブ『マイクロマックス』シリーズ(以下MM)の方が風に強そうだ(実際、メーカーHPでもそう謳っている)。 SPの看板ストーブ、『地』(左)と『マイクロマックス(ウルトラライト)』(右)。 正直、私は『地』を購入後(しまった、早まったか)と一瞬後悔したのだが、実はMMには欠点もある。五徳が4本の『地』に対し、MMの五徳は3枚しかなく、コッヘルの安定度では『地』に劣るのだ。少しでもコンパクトに収納する為の苦肉の設計と思うのだが、これは結構大きなウィークポイントと言える。折り畳んだ際のコンパクトさも『地』の方が若干優れているだろう。他にも性能には無関係だが、『地』は“SP初リリースの燃焼器具、1998年登場時には世界最小最軽量最コンパクトの称号で世界に衝撃と感動”という付加価値を持つ。どちらを選ぶかは、ユーザーの価値感に拠るだろう。個人的にはデザインの面から見ても『地』の方が好きだ。 SP純正『ウインドスクリーンS』 風対策の一つとして、純正オプションのウインドスクリーンを使う手もある。私がこれを購入しなかった理由は、余計な付属物があってはせっかくの『地』のコンパクトさが大無しになると考えたからだ。 (ストーブ全体を囲む折り畳み式の風防の方が遙かに効果的だ。中途半端にかさばるし、性能も中途半端なウインドスクリーンは必要無い。) ところがユーザーのブログを閲覧していて気が付いた。このスクリーン、私も持っているソロクッカーセット“チタントレック900”のサイズとぴったり合うらしく、全く邪魔にならないのである。スタッキング(重ねて収納する事をこう呼ぶらしい)が十八番のSPの事、勿論これは始めから想定している事だろう。 鍋底の輻射熱からのカートリッジ及び火力調節レバーの過熱防御、熱効率の向上といったメリットも期待できる。急遽、180度の方向転換。 (これは買いだ!) 難点は妙に高価である事。こんなものが1,000円近くするのは如何なものか。 その他 五徳は火力調整ハンドルを折り畳んで専用ケースに収納する際、ハンドルの位置はバルブを締めきらない解放状態の位置になっている。これが許せないというユーザーも多い。ケースから取り出してカートリッジにねじ込んだ途端、ガスが噴き出す事になるからだ。しかし一方で、毎回バルブを締めきらない方がネジ部が消耗しなくて良い、という意見もある様だ。メーカーの意図は分からないが、これは慣れで解決する問題だと思う。 他にもオートイグナイター(要するに着火装置)に故障が多い、という指摘もあった。いざという時の為に100円ライターを携行しておけば良いいのだが、それならわざわざオートイグナイター付きモデルを購入する意味が無い。そう思って“素”のモデルを選んだのだが、同時に購入したランタン『天』にはオートイグナイターが付いている。自動点火の利便性は、慣れるとライター着火が恐ろしく面倒になるだろう。幸いオートイグナイターは単品で販売されている。後付けも容易にできるので、とりあえず使ってみてから検討しても遅くはない。オートイグナイター付きとそうでないモデルとの差額と同じ値段設定なのは、メーカーの良心だろう。 結論として、SPギガパワーストーブ『天』は非常に魅力的な製品である、と言わざるを得ない。欠点もあるかも知れないが、その大半は過酷な使用条件下で発生するものであって、ソロサイクリングでの使用には全く問題が無いだろう。燃料カートリッジの普及度は流石にEPIやプリムスに敵わないが、県庁所在地の大手アウトドアショップでは取り扱われているし、通信販売を利用すれば入手に苦労はしない。何より、そのデザインとコンパクトさは他のメーカーの製品を凌駕しており、今のところ私にとっての“究極のコンパクトストーブ”の称号を付与するにふさわしい。 しかしおそらく、このストーブだけだと私はここまで入れ込まなかったに違いない。SPの魅力は、何と言っても製品同士の組み合わせの妙に尽きるのである。 次回、そんなSPのソロクッカー及びランタンについて、そしてSPというブランドの魅力の総論を語ろうと思う。 (この項、次回最終回)
by james_y1964
| 2010-04-10 05:11
| 『Project究極のランドナー』
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Comments(5)
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河っち
at 2010-04-10 12:41
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なるほど~、ジェームスさんはお薦めですか。
コンパクトになるのはええですねぇ。問題は風ですねぇ。大体野点する時は屋外の風よけの無い川原とかですから、MMかなぁ。 ガスカートリッジはEPIと互換性はあるんでせうか?大体規格品だとおもうんですけど・・・。 あと、今年の正月荒川河口で初日の出を見たとき野点しましたが、EPIノーマルガスカートリッジでは着火しませんでしたぞ。着火しても火力が弱くて、風ですぐ消えちゃいました・・・。
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ジェームス吉田
at 2010-04-10 17:17
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河っちさん、お待たせしました。・・・と言ってもあんまし参考にならない記事でスイマセン(笑)。
>問題は風ですねぇ 風に弱い、という事は確かにかなり厳しく指摘されてました。しかしまあ、わざわざ吹きっさらしで使う事は無いでしょうし、オプションの純正ウインドスクリーンは結構効果があるらしいです。折り畳み式の風防を併用するか、気候のいい時ならその辺の物で風除けを作ってやるか・・・勿論テントの中で使用する前提なら神経質になる必要は無いでしょうね!私はMMの3方向五徳のデメリットの方が気になるタチで、二択なら地を選びますです。これは好みの問題かな? >EPIと互換性 あるとは思いますが・・・一応お約束で、メーカーサイドは『純正品を使わんと、トラブっても知らんぜ』となってますな。 >初日の出を見たとき野点しましたが、EPIノーマルガスカートリッジでは着火しませんでしたぞ。 あらら、そうでしたか!こりゃ『平地なら年間通して常温用で十分』てな記載は大甘でしたね(汗)!加筆訂正しておきます、さりげなく(苦笑)。真冬のポタには低温仕様の金缶を持っていく事にします!
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ジェームス吉田
at 2010-04-10 17:29
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(続き)
それでもダメなら、小技(あちこちで色々紹介されますね)を使うしかないですが、まあ低温に弱いってのはガスカートリッジ式の宿命ですからねえ・・・。最後の手段は利便性を捨てて、液ガス式のストーブを使うしか無いでしょうけど・・・重いしメンドクサイです(笑)。
ああ、もう!
刺激されてピークワンを新調したくなってしまいました! しかし不思議ですね、どうしてこうコンロごとき(失礼!)に魅力とこだわりと愛着が湧いてしまうのでしょう。。。 モデルの選定は個人差があるので各々の好みで良しと思っています。でもそれだけ引き付けるものがありますね、これは。ツーリング全盛期のサイスポでも特集された記憶が… あ、僕も初日の出の時に似たような経験が。僕の場合はイワタニのカセットジュニアという異端児ですが、普通のカセットボンベで火が消えちゃたのに寒冷時仕様のボンベで普通に使えました。標高200M以下の低山でした。でも普段は関係ないですね。 3代目のピークワン(今はそう呼称しないらしいが)買おうかな、、、稼働率は低そうだけど欲しくなるんですよね。自重せねば… 危険だ…
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james_y1964 at 2010-04-11 05:33
りかの配偶者さん、おはようございます。
>刺激されてピークワンを新調したくなってしまいました! そ、そりゃあ悪い事をしてしまいました(笑)。 >魅力とこだわりと愛着が ですねえ、ですえね!『火』を扱うアイテムには格別のこだわり、思い入れが湧くのはなぜでしょう。 >稼働率は低そうだけど欲しくなるんですよね。自重せねば… 危険だ… それを言っちゃあ私だって、使う訳無いのにスベア123を買わなくちゃなりません(笑)。どうせ置物になるのは分かっちゃいるけど、未練が・・・あああ。
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