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2010年 02月 19日
ウチノ海一周ポタは温故知新(その2)
『鳴門スカイライン ようこそ鳴門へ』と書かれた特大の看板が、道路を跨いで掲げられている。初めてここを訪れる観光客はこの看板を見て心躍るかもしれないが、道路自体は今のところ地味でありふれた生活道にしか見えない。 気合いを入れ直してペダルを踏み始めたのだが、10時前だというのにもう腹が減ってきた。フロントバッグからチョコレートを取り出し、ひとかけらを口に運ぶ。 『そう言えば今日はバレンタインデーか。さては相棒、そのチョコレートは奥さんから貰ったな?』 『関係無い。これはキッチンの奥にあったのを勝手に持ち出したヤツだ。昨夜さりげなく打診したら“そんなものを買う予定は無い”とあっさり言われた。』 『そ、そうか・・・。』 右手にラブホテルが二軒、ほとんど感覚を空けずに建っている。 『これはおそらく、鳴門側からスカイラインを走って来ていいムードになったカップルを吸いこもうという算段なのかもしれない。』 『当たらずといえども遠からず、じゃないかな。』 しばらく進むと、今度は小じんまりした大師堂と、立派な不動明王の像が現れた。共にそう古い物では無い様だが、大師堂の方はなかなか味のある造り。不動明王像の脇に立っている大きな看板には“開運招福 厄除祈願 家内安全 商売繁盛”と書かれている。中々多角経営である。財政難の折、お賽銭も納めずに合掌。 『何をお祈りしたのだ。』 『勿論、家内安全。』 左に凪いだ海が見えてきた。一瞬もうウチノ海かと錯覚するが、勿論そんなはずはなく、これは瀬戸内海に面した日出(ひゅうで)湾。ここで進路は右に折れ、集落から遠ざかり始める。一定の道幅、緩やかなカーブ。道路は次第と観光有料道路らしい姿に変わり始め、次第と上り坂になっていく。押す程ではないが、楽ではない。右手前方、急勾配のガードレールが視界に入る。 『・・・まさかあそこまで登るのか。』 『たぶん、そうだろう。』 勾配は大したことは無いが単調で、さほど面白味は無い。間もなく先程の高架の上に到着。それなりに高度を稼いだ事を証明する風景を確認すると、多少は元気が回復。ピッチを上げると、あっという間に視界が開け、目の前に小鳴門新橋が現れた。 橋の手前はやや広くなっており、ここがかつての料金所だったと思われるが、記憶が曖昧ではっきりしない。しかしこの場所こそ鳴門スカイラインの最高の見所であり、父とのドライブの思い出が記憶として残る唯一の場所なのだ。 眼下に見下ろす小鳴門海峡。父はここで車を止め、一緒にこの風景を眺めたのだった。箱庭のような景色は、子供の頃の記憶とほとんど変わっていないのではないか。その父が他界してからもう18年が経つ。 『そろそろ行くか、相棒。』 思い出に浸っていた私を、ツヨシの言葉が後押しする。ペダルを踏み始めると、道は再びどうと言う事の無い景色に戻るが、適度なアップダウンと整備された道路は走っていて気持ちが良い。 我々が走っているのが瀬戸内海とウチノ海を隔てる島田島で、この辺りは小島田。その北が中島田、更に北が大島田。大中小と揃った地名が面白い。 『なあ相棒、スカイラインを降りて島の北端まで行かないのか?』 『それも考えてたんだけど・・・やっぱりこのままスカイラインを走ろう。』 のんびり走る我々の横を、真っ赤なフェラーリが追い越していく。ふと見上げると、うんざりする程高い場所に高架橋が見えた。 『・・・まさかあそこまで行くんじゃあないだろうな。』 『多分そうだろう。』 こういう場合、ツヨシの予想は大体当たる。 地図を見れば、この先に“四方見展望台”なるものがある。名前からして結構な高さであるに違いなく、あの橋はそこに至る為の物だろう。観念して走るしかない。 多少のアップダウンの後、心臓破りの坂が現れた。予想通りの展開で、坂の脇には≪四方見橋≫の銘。先程見た橋である。 吹きっさらしの高架橋は大して道幅も広くなく、視界は360度開けている。高度感、抜群。楽しいと言えば楽しいが、ちょっと怖い。ピークに達するとそこが四方見展望台。モーターサイクルが10数台、先程のフェラーリも停まっている。自転車は我々だけである。 見下ろすウチノ海には、釣り屋形と呼ばれる筏がひしめくように浮いている。これ程の密度で釣り船が集まっている風景は珍しいのではないか。高齢のグループが案内板を見ながら“あっちが本土だろう”“いや、反対側の島だ”などとやっている。内海の複雑な地形はややこしいが、それが奥鳴門と言われる美しい風景を構成する材料になっている。展望台左手には鳴門大橋が、そのむこうには淡路島も見える。四方見展望台の名に恥ない眺望だ。 『それにしても、こんな見所があったとは知らなかったなあ。鳴門スカイラインと言えば、小鳴門大橋しか無いのかと思っていた。』 『相棒の記憶もいい加減だなあ。』 トイレを済ませて出発。鳴門スカイラインはこの先で間もなく終点だ。 (続く)
by james_y1964
| 2010-02-19 03:41
| 『足の向くまま同行二輪』
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Comments(7)
フロントバック良いですな~キャリアほかしたのが悔やまれます(-_-)
バイクでなくて自転車で走ると景色が堪能できていいですね♪ いつも、nice!な突っコメントありがとうございます。 読みながらアハハ(^_^;)またやっちゃたのねと楽しんでおります。 現在、シートポストの固着と戦っております。いろいろ方法が あるようですが、あまり無茶はしない方が良いのですか? 取りあえず毎日CRCを吹きつつでっかいモンキーで 挟んでハンマーでガンガンと刺激は与えているのですが(笑)
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ジェームス吉田
at 2010-02-19 23:30
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tonojiさん、こんばんは~。
Fバッグは何かと便利です。ちょっとしたポタリングの際にも十分な容量がありますし。持って置いて損は無し。けど、キャリアほかしちゃいましたか! 自転車は好きですが、バイク(モーターサイクル)を全否定する気はありません。私も一時期SR400乗ってましたし。それぞれの良さがありますね。今は自転車一辺倒なのは、財政事情も絡んでたりして・・・(苦笑)。 おせっかいな突っコメント、お気を悪くなさらないで下さいね(笑・汗)! シートポストの固着ですかあ・・・うーむ、アレは大変なんですよねえ・・・。 とりあえず、今のやり方で根気よく頑張る事をお勧めします。無理は禁物!大事なフレームを歪めてしまうと取り返しがつかなくなりますからね!それでも駄目なら、大勢の人が様々な方法を試されてますから、一度ググってみて下さい。 私の成功事例としては・・・(ある程度セオリー通りやった後)木槌で上からシバき込む、という方法。回したり、上へ抜こうとする方向へは中々力をかけにくいでしょ?要は固着さえ外せば良い訳で。この方法は盲点でした。上手くいかない場合もありますので、あくまで参考まで。
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ジェームス吉田
at 2010-02-19 23:36
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補足)そうそう、フロントキャリアが無い事について。ユーラシアのフォルムにこだわるのなら、キャリアが無いままでは一つ不都合な点があります。
tonojiさんのユーラシアツーリングには、泥除けの先端にヘッドランプが付いてるでしょ?それを保持する為に、キャリア先端と泥除けをネジ止めしていたはずです(泥除け上部にキャリア取り付け用のネジ穴が残っているはず)。つまりキャリア無しでは、ランプの重さで泥除け前方がブラブラになってしまいます。対策は・・・レストア進行に合わせて考えて行きましょう! ・・・ん?ライトは無くなってましたっけ?えーっと、どうしましょ(笑)。
昭和61年発行の国土地理院五万図「鳴門海峡」を見ながら、ジェームスさんの轍を辿っています。
昭和61年の地図には、まだ鳴門有料道路と記載されていますね。無料化されたのは平成に入ってからでしょうか。 画像の小鳴門海峡ですが、河のような海峡に漁村が軒を連ねている風景がいいですね。情緒があります。わたしも前回は、スカイラインに沿って走っただけでしたので、次回は、北泊や島田島も探索してみたいです。
ジェームスさんこんばんわ~♪
シートポスト・・・押してもだめなら引いてみな作戦ですね! それは思いつきませんでした(^^♪ 無理せず気長にやっていこうと思います。 ラ ライトですよね~(^_^;)電気がつかなくなって、多分ダイナモがおかしかったのかな?キャリアと同じくほかしたパターンです。その当時はレストアなんて考えた事もなかったもので、いらない使わない、じゃあ外しちゃおう(-_-;)ばかりでした。泥除けには、しっかり穴が何個か空いてます(笑) ライトは、フロントのフレームにダイナモとライトがセットになって物を購入して当時は付けてました。今は外してますけど。 まずは、走れるようにしなければと思ってますので、鋭い突っコメント楽しみしています。
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ジェームス吉田
at 2010-02-21 05:21
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さんつあ~ひ~ろ~さん、おはようございます(いつも変な時間にコメントする私)。
帰宅後調べたのですが、鳴門スカイラインの無料解放は、96年(平成8年)8月1日との事。意外な程最近でちょっと驚きました。 当初は島田島周遊を検討してたのですが、走っている内にスカイラインの快適さに引かれてそのまま完走する事にしました(根性無しとも言う・笑)。 次回、ゆっくり時間が取れた時は改めてコースを組んでみたいものです。下から見上げる小鳴門新橋なんてのも乙なものでは?
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ジェームス吉田
at 2010-02-21 05:28
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tonojiさん、おはようございます。
そうそう、焦っちゃダメですよ!メカいじりの世界の格言で、『焦るととロクな事が無い』というものがあります(私が作った格言ですが・笑)。 >泥除けには、しっかり穴が何個か 多分、前の穴がライト、後ろがキャリア取り付けネジ穴かと(笑)。 ユーラシアのオリジナルライトやキャリア、今ではヤフオクで高値取引の対象です。うーむ。 ま、電装は後回しでもいいでしょうね。仰る通り、まずは走れる様にしようではありませんか!完バラ、完グリスアップで新車当時の走り心地を再現しましょう。
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