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2009年 01月 18日
私が望む条件を満たす市販既製品のサポーターは存在しない様だが、フルオーダーの品なら過去にあったかもしれない。バッグサポーターを介して後開きFバッグを使うサイクリストは珍しく無い。わざわざ新たなデザインを考えなくとも、それを参考にすればよいではないか。
私はネットで紹介される後開きFバッグ愛用者達の自転車をくまなく探したが、残念ながら決定打というべき一品は見つからなかった。 ・・・いかんのである。どうも納得いくものが無い。ではいったい何が気に入らないのか。 最も条件に近いと思われる形状が、TOEIオリジナル品にも採用されている、ステムからU字型に伸びるタイプのものだろう。 ステム形状により取り付け部は色々なタイプがあるが、高級オーダー車に多く採用されているのがこの形状のもの。U字開口部に後開きバッグの蓋を収める事ができそうだ。一般にクロムメッキされたスチールパイプで作られており、バッグの固定方法は日東『蔵王』と同じ差込式となっている。 但し実際は強度確保の為にU字の上部に水平に補強が入っている様で、その場合はやはりバッグの蓋を垂直に折る事はできない。それ以前に、U字の補強があろうが無かろうが、誰一人としてバッグの蓋を下方に折り曲げて使ってはいないのである。どうやらこのU字はあくまでデザイン上の意匠の様で、皆さんバッグの蓋はハンドルバーに被せるか、さもなくばバッグ内側に折り込んでおり(その場合は別のフック等で蓋を固定)、蓋を垂直に閉じなければ気がすまないのはどうやら日本中で私一人だけらしい。 この方式にはもう一つ問題点がある。それはこの方式のキモとも言える、パイプ差込式のバッグ着脱システムである。ダート走行中や段差を越えた時に、バッグ側の金具が差し込み部でガチャついたり外れたりするのだ。マジックテープやワイヤーで固定するという解決策をネットで見たことがあるが、どうも私の好みではない。どうせならネジ式かクイックリリーズ等でしっかりと固定したい。更に贅沢を言えば、このタイプのものがオーダー車に付けるFバッグサポーターの定番になっており、出来れば人と違ったデザインの物が欲しい。 昔の犬印の後開きFバッグは『フランスタイプ』と呼ばれていた。TAのバッグも、現在入手できる舶来ブランドのバッグも、それらを愛用する皆さんは躊躇せず蓋をハンドルバーに被せている。という事はつまり、ランドナー発祥の地フランスでもそうするのが当たり前なのかもしれない。しかし私は日本人。そして私が乗るのはいわゆる『日本式ランドナー』。蓋をハンドルバーに被せると、ドロップハンドル上部が握れなくなるではないか。フランス人は、いや、後開きバッグ愛用者の皆さんはなぜそれが気にならないのだろう。 私が『ドロップハンドル3点ポジション完全実施』にかくも拘るのはなぜか。よくよく考えてみると、どうやらあの名著『サイクル野郎』の中で主人公丸井輪太郎がその効能を語ったことに由来するらしい。そうなのだ、私はモロにあの漫画の影響を受けた世代なのである。幼い頃に刻まれたウンチクが、この歳になって自らその拘りで苦しむ事になろうとは。もっとも『サイクル野郎』のファンは数多く、こんな事で悩んでいるのが私だけというのはどうもおかしい。深層心理に係わる何か別の原因があるのかもしれない。そんな事まで考えれば、自転車とは全く関係ない話になりそうだ。 ご存知、サイクリストのバイブル。それにしても全37巻がヤフオクで3万円を下らないのは高過ぎではないか。『ワイルド7』(全48巻)でもその半額だというのに。(画像はヤフオクより) 小学校時代の友人A(鉄工所経営)の手を借りる事により、オリジナルFバッグサポーター作成の目途は立った。しかし彼の好意に甘える以上、過剰にワガママな事は頼めない。あくまで仕事の合間に行ってもらう作業であるし、材料もありあわせで間に合わすのだから、自転車工房でフルオーダーするのと同じにはいかないのだ。 かといって、満足行く品を作れないという訳では無い。入手できる材料で作れる形状に設計すれば良い訳で、仕上げが気に入らなければ気が済むまで自分でヤスリをかければ良い。その辺りの事は友人とは言え、いや友人だからこそ最初に十分に意思の疎通を図っておかねばならない。 後日自宅にAを招いた私は、ALPSのFバッグや蔵王サポーターを見せながら事前打ち合わせを行った。Aはフンフンと頷きながら私が語るサポーターのイメージを聞いた後、蔵王サポーターを手にして口を開いた。 『ここまでの仕上げは無理だぞ。これは相当手がかかっている。』 『それは分っている。ところで材質だが、強度から言ってもやはり鉄だろう。問題はメッキだが・・・』 『知り合いの業者に頼めなくは無いが、メッキはバカ高くつくぞ、止めとけ止めとけ。それよりステンレスにしろよ。素地を磨いたらナンボでも光るぞ。錆びの心配もしなくて済むし。』 ステンレスの方が強度に勝るのは分っている。が、その加工は鉄に比べてかなり面倒なはずだ。 『そりゃステンレスなら願ったりかなったりだが・・・大丈夫かい?加工もそうだけど、材料費だって・・・』 『いや、使えそうな部材が転がってたと思うからどうにでもなる。それにステンを溶接したら、強いぞ。ビクともしない。』 そんな打ち合わせの後、Aは近いうちに試作品を持ってくると言い残して帰っていった。私はそもそもその時点ではまだ図面すら引いていなかった。実際に作る側の意見も聞いておかなければ図面も何も無いだろうと考えていたのだ。最初の打ち合わせで私が理解した点は以下の通り。 (1)材料は5mm程度のステンレスのムク棒、あるいは3~5mm程度のステンレス板。 (2)あまり凝った形状の加工は無理。 (3)ステンレスムク棒を鋭角に曲げる加工は専用工具が無ければ困難。 (4)従ってバッグ取り付け部はムク棒ではなく、板を使った方が加工が容易(ということは 仕上げもその方が綺麗) これらを踏まえた上で、Aが試作品を持ってきてくれるまでの数週間、私はあれやこれやとアイデアをひねり出そうとした。ダンボールで型紙を取ったり、方眼紙に図面を引いたりしたものの、どうも満足いくものが思い浮かばない。仕事中までFバッグサポーターの事が頭から離れなくなった頃、Aが試作品を持って来てくれた。あまり大した物ではないが、と謙遜しながらみせてくれたのが画像の一品である。 ステンレス5mmムク棒・5mm板を使用。 正直言って仕上げは雑だが、あくまで試作品という事でAも本気でヤスリをかけた訳では無く、実際はもっと綺麗に仕上げられるとの事。デザインよりも後開きの蓋を閉める際の使い易さを最大限考慮にいれた結果がこの形状だが、下方に大きく伸びたステイ取付金具がFキャリアの背に当たる為、実際に取り付ける事はできない。参考用に蔵王サポーターやバッグは持って帰ってもらったが、自転車本体までは渡していなかったのでこれは仕方がない。 しかしこの試作品は最終的な形状決定にあたり、大変参考になったのである。実際に手に取って以下の点を確認できたのは極めて大きな収穫だった。 ①ステンレスという材質の素地の風合い。 ②5mmムク棒をメインで使った場合の、全体的なイメージ。 ③部材の厚さ・太さに対する重量感・強度感。 ④実用上、全く問題の無い溶接箇所。 ⑤あらかじめ専用工具で直角に曲げられた部材があり、それを使わない手は無い。 (画像参照、ただしムク棒一本につき1箇所だけ) 溶接強度は特に不安だった点で、この部分はネジ止めやむなしとも考えていた程なのだ。私はAに感謝を伝え、いよいよ最終決定稿となる図面を描き始めた。結局この試作品とは全く異なる形状になるのだが、果たして私の思い描くFバッグサポーターが完成するかどうか。全てはAの腕にかかっている。 サポーター完成までに少し時間がかかるので、次回は私が考え出した珍妙なアイデアを幾つか紹介したいと思う。どれもボツになった案だが、後年何かの参考になるアイデアが含まれているかもしれない。 (続く)
by james_y1964
| 2009-01-18 08:44
| 『Project究極のランドナー』
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