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2008年 07月 04日
大枚叩いて手に入れた希少パーツ、ALPS刻印入りステム。悪友Tの羨ましがる顔を目に浮かべながら、私は早速ステアリングを組み上げた。
ところがフレームに取り付けてみた瞬間、あっと驚いた。私にとってどうしても譲れない、決して妥協する事のできない問題が起きている事に気付いたのである。パール“8”では僅かとは言え突き出しが大き過ぎ、必要以上にフロントバッグが前方に置かれてしまうのだ。その距離約1cm。 たった1cmと言うなかれ。フロントバッグをハンドルバーに革ベルトで取り付ける方法なら何ら問題は無いし、むしろパール“7”より“8”の方がベストフィットかもしれない。しかし私はドロップハンドル3点ポジションを完全実施する為に、フロントバッグサポーターの使用を前提としてステアリングを組む計画を立てている。このパール8に日東蔵王のサポーターを取り付けてその延長線を下に伸ばして行くと、Fキャリアの背の付け根部分より1cm前方に到達する。つまりFバッグ後部に無駄な空間が空いてしまうのだ。 (画像は撮影の為にハンドルバーを反転) 私にとって、○部の空間が我慢ならない。Fバッグサポーターがある以上、Fバッグはこれ以上後退しようがない。バッグの跳ねを考慮すると、実際には更に前方にずれる事も考えられる。若干倒れているFバッグサポーターの背を垂直になるまで曲げる事も考えたが、破損の恐れがある為、却下。 わずか1cmのズレになぜそこまでこだわるのか。 第一に、ハンドル操作の阻害という点。私が“走り”にこだわる事は既に述べた通りだが、そのこだわりはフロントバッグの固定方法にも及ぶ。実のところ、ドロップハンドル3点ポジション完全実施の為にFバッグサポーターを使う事について、当初はかなり抵抗があった。なぜなら荷物が入ったFバッグはそれなりに重量があり、バッグがハンドルから離れれば離れるほど、ハンドルを切った時にその重さに振り回される事になるからだ。俊敏なハンドル操作を行う為には、支点となるヘッドチューブに少しでも近い位置、つまり可能な限りハンドルバーに近い位置でバッグを固定すべきと言うのが理屈だろう。従って従来通りのハンドルバーベルト止めの方が、ステアリングの優位性という意味では勝る。 Fバッグサポーターの使用は二者択一に散々悩んだ挙句の結論で、その代わり“可能な限りFバッグはハンドルバーに近づける”という条件はどうしても外せない重要項目となったのである。 第二に、ヘッドランプとFバッグのクリアランスの問題。Fマッドガードの項(第15章)でも書いたが、そもそもただでさえヘッドランプの位置が前過ぎる傾向にあるのだ。Fバッグとヘッドランプの接触回避の為にそうした訳だが、この上Fバッグ後方に無駄な遊びがある事は許せない。その意味でも、Fバッグはキャリアの背に密着していなければ気がすまないのである。 第三に、何よりもこれら諸問題は、本来予定していたパール“7”を付ければ全て円満に解決するという事実。僅か1cmの問題は、僅か1cmのこだわりで解決するのである。要するに、ミーハー根性に負けてポリシーを曲げた自分が悪いのだ。 パール“7”を使用した場合。蔵王Fバッグサポーターの延長線はほぼキャリアの背の付け根に達する。これならFバッグはキャリアの最後尾に置かれる事になり、文句は無い。 私は自分を恥じた。きっとバチが当たったのだ。マニア垂涎のALPS刻印入りステムは、やはりアルプスオリジナル車にのみ付けるべきパーツだったのだ。神田のお店に一度も訪れる事も無く、店長と口を聞いた事もなく、それどころかオリジナルバッグに文句ばかり言っていた自分には、このステムを付ける資格は無いに違いない。勿論、神田アルプスのお店と自転車に本当に深い思い入れがあるのなら、どれ程高価だとしてもそれはそれで意味があるだろう。しかし私はただ単に、他人に自慢したいというだけの目的でこのステムを手に入れたのではなかったか。『大切に使ってくれる方に』と言ってオークションに出品された前オーナーに、私は申し訳ない気持ちで一杯になった。 やはりパール7でなければならない。実は画像にもある通り、私はそれを既に所有している。しかしある理由で、そのパール7はどうしても使いたくなかった。だからこそ、ALPS刻印入りのステムに猛烈に引かれた訳でもあるのだが――。 ステム上部に打たれたNJSの刻印、それが理由である。 左側上部に打たれたNJSの刻印。昔はこんなものは打たれていなかった。 このパール7を地元ショップで購入したのは、はっきりとは覚えていないが2000年以降だったと思う。購入した時に“おや?”とは思ったが、当時半ば引退していたシルクに付ける為でもあったし、それ程抵抗は感じなかった。 しかし、『究極のランドナー』に付けるというなら話は別だ。一度シルクに付けていた中古だからという訳ではない。この、NJSの刻印が気に入らないのだ。突き出し部左右のPearlの刻印はその昔、ゴシック体から現在の流麗な字体に変わって今に至っている。それなのに、わざわざその横に事務的に打たれたNJSマークの嗚呼、何と無粋な事か。 おそらく昨今のピストブームの影響だろうが、長年慣れ親しんできたパールのステムに、こんな刻印は打って欲しくなかった。せめてMAXライン周辺の、目立たない場所なら気にならないのだが、それでは意味が無いのだろう。 私はNJS刻印の無いパールを注文する為に地元ショップに足を運んだのだが、店長は気の毒そうに一言、『無理です』。 いつからそうなったのか、ひょっとしたら現行のパールには全てこの刻印が打たれているのだろうか。不安に駆られながら、いつもの様にGAMIさんの掲示板に自分の悩みを打ち明けた。そこで通信販売で探してみることを進められ、私は早速在庫が多いことで有名な某ショップにメールで問い合わせてみた。勿論『NJS刻印無しの“7”』という条件である。ひょっとしたら在庫が残っているかもしれない、いや、都会の大きなショップには残っているに違いない。 その翌日、早々に届いた返信メールの文面を読んだ私は愕然とした。 『パール7は製造中止になっており、入荷予定もありません。』 事態はNJSの刻印どころではなくなっていたのである!(続く)
by james_y1964
| 2008-07-04 19:02
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Comments(5)
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もーちゃん
at 2020-04-11 14:54
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オーダー車に至るまでに、ステム銘柄、長さ、挿入深さ、バー銘柄(形状、サイズ)、使用バッグ、キャリア、バー握りポジションなどは決定しておきます。
オーダーの前段階では、当時のケルビムなど吊るしフレームまたはハウスブランドのセミオーダーフレーム+各種パーツの組み合わせ試行錯誤で、走り方とパーツ選定、乗車ポジション、バッグとキャリアの具体像を決めておきます。この段階で、BBのばらしメンテやホイール組などの整備に習熟し、同時に工具も調達しておきます。サドルはオーダー車に引き継ぐほどになじませておきます。 その前の段階は、マスプロ車購入、細部を意識せず乗り回して不満やあこがれをイメージしつつ、お小遣いベースでパーツを先行調達します。 オーダー車製作後に、ステム長を変えたりクランク銘柄を変えたりする必要が出てくるのは、オーダー時期早尚かオーダー失敗ということです。 上記3ステップを付き合ってくれるショップがプロショップです。ステップ2で経験上のアドバイスが得られ、オーダー車製作のタイミング見極めや不満点がすべて解消してくれるようエスコートしてくれるでしょう。 オーダー車の価値は、まとまりの良さとどんなコンディションでも違和感のない乗車感覚です。例えばサドル高さやバー角度を数ミリでも変更したら両者が崩れるような高度なバランスを有してこそのオーダー車です。
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james_y1964 at 2020-04-12 06:45
もーちゃんさん、初めまして&コメントありがとうございます。
それぞれのコメに対して個別の返信せず、まとめての返信ご容赦くださいませ。 まずご指摘の『フルオーダー時期早尚、オーダー失敗』とのポイントは先刻承知しております。本ブログの『プロジェクト究極のランドナー』の章は物語風に構成されており、初めから通して読むことで、筆者がそれを自覚していく過程がお分かりいただけると思います(無茶苦茶長いし、初期の頃は文章が物凄くヘタクソで読むに堪えられないかもしれませんが・笑)。 ブログ開設から20年近く経ち、大ベテランの先輩サイクリスト方々と、ネット・リアル両面を通して交流頂き、その辺りの知識も当初とは比べ物にならない程になりました。無論、未だに知識の面においては諸兄らの足元にも及びませんが。
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james_y1964 at 2020-04-12 06:54
(続き)
もう一つ、本文中にも触れましたが、私の在住する香川県の片隅は結構なイナカです。当時、書店にニューサイが並ぶことはなく(存在は知ってましたが)、高校入学(1980年)と同時に購読始めたサイスポだけが情報原。舶来パーツを扱うプロショップも、国鉄で一時間かかる県庁所在地に2店あるだけでしたし、オーダーの窓口となるには都内のショップと比べればかなり心許なかった事は否めません。 そんなハンディキャップを抱えた環境でしたから、腕利きのショップや情報に恵まれた首都圏と同等に比較されるのは内心傷つきます。当時としてはこれで精いっぱい、といった状況でした。その辺りの事情をくみ取って頂けましたら幸甚です。
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james_y1964 at 2020-04-12 07:03
(続き)
最後にもう一点。 本ブログは当初、メカニックやパーツにかなりのこだわりを見せた内容ではありましたが、オーダー車を3台所有する現在、そちら方面の関心・こだわりはかなり薄れてきております。 現在の関心は走る事、ツーリングそのものに比重が置かれ、パーツへのこだわりは・・・もう、あまり重要ではなくなってきました。トシかなあ。よって、そちら方面へのレスはあまり熱が入らないのも事実。ゴメンナサイ! 訪問された方々には、ツーリングレポートの方を読んでくれたら嬉しいなあ・・・というのが本音です。が、これは訪問者の方々には関係ないことですね(苦笑)。 最近は放置したままの当ブログですが、いずれ再開を考えております。これに懲りずに、ちょくちょく覗いてやってくださいませ! ジェームス吉田
Commented
at 2020-05-27 14:21
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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