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2022年 08月 15日
輪行袋を担いで沼津駅南口へ。申し分ない晴天で、胸を弾ませながら自転車を組み立てる。 『吉田さん、これが沼津駅前ですよ。初訪問の感想、いかがですか?』 『それがその・・・実は待ちきれなくなって、出発直前にストリートビューで駅前の風景だけは見てしまったのです・・・面目ない。』 『何やってんですか。』 笑いながら、ちょっと呆れるT編集長。
他のメンバーの到着は9時頃なので、それまでの時間は沼津市街の観光スポットをT編集長に案内していただく予定である。自転車を組み立てて、まずは沼津港界隈に向かう。早朝5時から営業している海鮮が売りの食堂もガイドブックで確認済み。2台の自転車は市街地を南に向けてスタートした。
『編集長、実はお願いがありまして。』 『なんでしょうか?』 『満を持しての伊豆サイクリング、予習は完璧です。この機会にコース上にある見どころを全て押さえておきたいのです。多少ワガママを言うかもしれませんが・・・』 『分かりました、遠慮なく仰ってください。知ってるところは全部案内しますから。』 『かたじけない。』 そんな事を話しながら、アーケードの駅前商店街を自転車を押しながら進む。いたるところに《ラブライブ!サンシャイン》のキャラクターがあしらわれており、第一話しか見ていない私とて流石聖地、と唸ってしまう。ラブライブ!シリーズは現在3作目が放送されているが、沼津が舞台となるのは2作目だ。 市街地を抜けたところで、T編集長が自転車を停めた。 『吉田さん、廃線はお好きでしたっけ?』 『大好物ですが。』 並走する歩道を指差しながら、 『レールが残っているでしょう。かつて沼津港から駅前まで鉄路が引かれていたのです。沼津駅に戻る際に廃線跡を辿ってみましょうか。』 『それはいい!是非に是非に!!』 そんなものがあったとは、完全に見落としていた。
ほどなくして沼津港に到着。港に隣接するエリアは観光客向けの食事処や土産物店が密集しており、そこでの朝食を楽しみにしていたのだが・・・目の前の風景を目にして、私は愕然とした。早朝だというのに、観光客でごった返しているのではないか!目ぼしい食事処店の前には開店前からズラリと行列が並んでいる。お目当てにしていたのはガイドブックに載っていたSという海鮮処だったが、もはや店を探すまでも無いだろう。界隈を一周してみたが、開いている飲食店の前は全て大行列。考える事は皆同じ、ましてや今日はゴールデンウィーク真っただ中である。 『それにしてもこれ程とは。参りました。』 『良かったら、前に行って美味しかったお店がもう少しで開店しますから、そこにしますか。』 『お願いします!』 編集長が案内してくれたのは、港に隣接するマーケットモールの中の『丸勘(まるかん)』というお店。通路に並ぶ列は外の店程ではなく、店の内外にびっちりと飾られたラブライブ!のキャラクターイラストを眺めているうちに店先に到達。沼津海鮮名物の一つ、生シラス丼を堪能する事ができた。 ☑名物生シラス、満喫!
腹が膨れたところで港をぐるりと回って西側に向かう。この沼津港は半分引退状態で、大型船が停泊するのは駿河湾に面した“新”沼津港なのだそう。そんな説明を聞き終わると同時に、目の前に巨大な水門が現れた。展望水門“びゅうお”だ。上部が展望台になっているが、入館は10時から。 『コレも抑えとかなきゃいけないスポットだったんですが・・・外から見るだけでいいですかね。』 『ま、いいんじゃないですか。』
☑びゅうお、チェック完了!
びゅうおを過ぎると、右手に松林が見えてきた。 『これをお見せしたかったんですよ。もうちょっと先に行けばベストポジションが・・・』 T編集長の言葉は大げさではなかった。眼前には見事な富士山が、そして手前から遥か遠くまで伸びる松林。得も言われぬ雄大さに、ひと時言葉を失う私。 説明無用の絶景。これぞニッポン!
☑千本浜からの富士山、堪能!
『そろそろ駅に戻りましょうか。』 T編集長は堤防を下り、観光客が来るはずもない住宅街を走る。よくもまあ、こんなルートを知ってるものだと感心していると、早朝に見たあの廃線跡が現れた。 『全部ではないですが、ここから遊歩道になっているのです。廃線跡を辿って、沼津駅に向かいましょう。』 帰宅後資料を調べたところ、この路線の正式名称は東海道本線沼津港貨物線(通称:蛇松線)といい、東海道本線の建設のために狩野(かの)川河口から沼津に向かい敷設された静岡県初の鉄道であった。遊歩道として整備された廃線跡は涼しげな木々に囲まれ、住宅街となった界隈の公園の役目も果たしている様だ。廃線跡が有効活用されている稀有な例ではないだろうか。
☑蛇松緑道(廃線跡)、完了!
沼津城本丸跡を見学してから沼津駅に戻り、参加者全員が揃ったところで改めて旅の出発となった。 今回は舞台サイクリング研究会会長の北山氏、そして“隊長”ことMさん、そしてT編集長と私の合計4名のパーティーだ。Mさんは編集長のブルべ仲間のお知り合いで、以前の信州遠征にもご一緒したこともあり、久々の再開である。無論参加者全員がアニメ大好きおじさんである事は言うまでもない。 私以外のお三方は沼津の常連だが、食事はやっぱり海鮮系がよろしかろうとの事で、再び沼津港に向かう。少し早めの昼食になるが、本日走るルート上には、これといった食事場所が無いらしい。たとえあっても、今朝の有様では、どこへ行っても大行列に違いない。 再び沼津港のマーケットモール“沼津みなと新鮮館”に到着したのは10時。相変わらずの賑わいの中、入店したのは『あじや』というお店。メンバーが丼物を注文する中、私は一人だけお店一押しの“アジづくし定食”を。 『大丈夫ですか?朝食からまだ間が無いのに。』 『いやあ、せっかくの沼津、名物を食べ切らねば。』 運ばれてきたのはその名の通りのボリュームで、味は抜群だが胃袋の容量はこれで全て使い切ってしまった。
☑名物のアジ料理、満腹!!もう食えない!!
『ここを右折して県道にると、大渋滞はここから少しマシになるはずです。』 信号は青に変わりそうだったが、慌てて一時停車を皆にお願いする私。 『スイマセン、左にあるのが狩野川放水路でして、記念撮影をば・・・』 狩野川放水路は、氾濫を繰り返す狩野川を鎮めるために、14年の歳月をかけて昭和40年(1965年)に完成した“人工の支流”で、下流側に設けられた三門のトンネルを道路から見ることが出来る。見て面白い物ではないが、狩野川の氾濫とともに生活してきた地域の歴史を顧みれば、ぜひ見学しておくべきスポットと思う。
☑狩野川放水路(口野トンネル)見学完了!
その後も渋滞は続いたが、内浦湾に面した三浦シーパラダイスという水族館を過ぎた途端、交通量はグッと少なくなった。そのまま海岸線を走り抜けるのかと思いきや・・・違うのだ。トイレ休憩という訳でもないのに、これと見定めた堤防で立ち止まる。
今回のツーリングには、もう一つ大きなテーマがあった。それは釣り。T編集長が取り付かれたかのように釣りサイクリングにハマって以来、仲間内でそれは感染していったのだ。幸か不幸か私は重症化には至っていないが、それでも今回の遠征に合わせて、超小型のロッド(竿)とリールを仕込んできた。完全な“にわか釣り師”だが、釣果はハナから期待してはいない。のんびりと竿を振るのも一興かと、そんな心境でい挑んでいるが、他のメンバーはどうだかわからない。 目指すキャンプ場までは海岸線を辿る県道一本道だが、止まっては竿を振る事数回。結局誰も釣果は無く、キャンプ場手前唯一の商店でアルコールを仕込んで16時50分、目指す尾瀬(おせ)テント村に到着。
『話には聞いていましたけど・・・なんちゅうワイルドなキャンプ場ですか!』 驚きの声を上げる私に、他のメンバーは苦笑い。ジャングルの様な急斜面の山裾に、限られた数のテントサイトが点在するという、昨今のキャンプブームに乗っかかった家族連れはドン引きするだろうロケーションである。 流石にGWだけあって、我々が陣取るスペースはなかなか見つからない。どうにか工夫して設営を終え、初日の宴会が始まった。昨夜あまり寝る事が出来なかった私は、やたらと酒が回る。翌朝聞いたところ、崖を転げ落ちたとか、北山会長のツエルトをぶっ潰したとか、ほとんど身に覚えが無いのだが・・・ (続く) #
by james_y1964
| 2022-08-15 16:14
| 憧れの旅、とっておきの旅
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2022年 06月 05日
『参加者30名程、2泊3日の伊豆旅行』 それが幹事さんから依頼された職場旅行のプランだった。今を去る事25年余り昔、高松市で旅行会社の営業をしていた頃の話である。 新幹線で三島まで移動、現地の貸し切りバスに乗り換えて温泉旅館で2泊3日のコースを立てる・・・のだが、伊豆など行ったことが無い。業界ではよくある話だが、行ったことがなくてもプランニングするのがプロである。既存のコースを参考に、先輩に尋ね、観光ガイドを熟読し(それでもプロか?)、想像力をフルに働かせてプレゼンし、どうにかお客さんを伊豆に送り出すことが出来た。専門職の若い女性添乗員が同行するので、私はお呼びでない。確か修善寺温泉から下田へ抜けるコースだったと思うが、詳細は覚えていない。
旅行終了後、幹事さんにドキドキしながら尋ねる。 『どうでした?』 『うん、楽しかったよ。』 『そうでしょう!ホント伊豆は良いところで・・・』 実際のところはわからない。なにせ行ったことが無いのだから。私の脳内にある伊豆のイメージは、せいぜい川端康成の『伊豆の踊子』、松本清張の『天城越え』、同名の石川さゆりの歌ぐらい。全く未知の世界だったのである。ただその事をきっかけに、伊豆は私にとって“いつかは訪れたい憧れの地”になっていく。
************************************
時は流れた。 休眠していたサイクリング趣味を復活させた頃、縁あってT編集長が手掛けられるシクロツーリスト誌に何度か寄稿する機会に恵まれた。その第8号の『名コース再訪』という特集の中、“伊豆の峠越え”という記事に目を奪われた。私が想い描いていた“伊豆”がそこにあったのだ。 (これだよ、これこそが伊豆サイクリングだよ!) 執筆されたのはatsさんことIさん。御前崎オフで何度もご一緒させて頂いた自転車趣味の先輩で、皆に愛される紳士である。 その後、T編集長にお声がけ頂き、上京した折に同誌のライターさんや編集者の皆さんと居酒屋で一杯やる事になった。無論Iさんも参加された。お互いの記事について語りあい、ほろ酔いの私はあの伊豆の記事に感銘を受けたことを熱く訴えた。 『機会がありましたら、ぜひ伊豆サイクリングに同行頂けませんか。』 『喜んで!見どころを隅々までご案内しましょう。』 『約束ですよ!』 遠くない将来、憧れの伊豆訪問が叶う事になるだろう。それも自転車で!私はその日を楽しみに待つことにした。
それから何年も経たないうち、突然悲しい知らせが届いた。 Iさんが重い病で入院しているというのだ。 私は居てもたってもいられなくなり、仲間とお見舞いに向かった。病室のIIさんは以前と変わらない優しい笑顔で、私たちを迎えてくれた。 『早く良くなって、伊豆を案内してくださいね。約束したんですから。』 そう言う私の手を、Iさんは力強く握りしめてくれた。 『そうですね、絶対に行きましょう。』 溢れそうになる涙をこらえながら、私は病室を後にした。そして、Iさんと直接話したのはそれが最後になった。 優しく誰からも愛されたIさんは、ほどなくして天国へと旅立ったのである。 伊豆は私にとって、憧れの場所であるとともに、神聖な場所にもなった。
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更に月日は流れた。 2022年初頭、伊豆サイクリングのお誘いの報が舞い込んだのである。 お声がけ頂いたのは、全国に5千人の会員を擁する(真偽不明)『舞台サイクリング研究会』の会長、北山広氏。ちなみに副会長はT編集長。アニメ作品に登場する聖地をサイクリングで回るという活動を幅広く行っている、国内最大の組織(真偽不明)である。 幽霊会員である私(そこまで深く広くアニメ作品を視聴していないのでちょっと肩身が狭い)も、毎回お誘いを受けており、コロナ禍になる前は信州サイクリングへと遠征したものだ。 その定例サイクリングが、今年は伊豆を走る事になったのである。
私には、一緒に走ってくれる仲間がいる。
万感の想いで、私は憧れの伊豆サイクリングの準備に取り掛かり始めた。勿論、会の趣旨はアニメの聖地巡り。沼津市が舞台のアニメ『ラブライブ!サンシャイン』の第一話を大慌てで視聴したのは言うまでもない。
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5月2日、JR高徳線の鈍行で高松駅へ。そこからは寝台特急サンライズ瀬戸で一気に沼津駅まで乗り換えなしの旅だ。最近は(少しだけ)奮発して、『B寝台シングル』という個室を利用する事にしている。最安値の個室『B寝台ソロ』の寝台料金に千円追加するだけで、格段に快適になるからだ。 一晩だけの城に入り、黒ビールの缶を開ける。到着は翌朝5時26分だから、寝過ごすわけにはいかない。22時には床に入ったが、期待と興奮と振動でなかなか寝付けない。熟睡したのは正味3時間程だろうか。朝日差す車窓から富士山が姿を現し、寝台列車の旅はあっという間に終了となった。 輪行袋を担いでホームに降り立つと、見覚えのある人影が・・・T編集長である。その手には『ようこそ伊豆へ』と毛筆で書かれた半紙が!朝からテンション爆上がりの嬉しいお出迎えで、長年楽しみにしていた伊豆サイクリングが、遂に、遂に始まったのである。 (続く) #
by james_y1964
| 2022-06-05 10:40
| 憧れの旅、とっておきの旅
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2022年 05月 02日
●ビーパル付録大ヒット アウトドア雑誌『BE-PAL(ビーパル)』については、以前の記事(12年も前!)で触れた。近年は立ち読みすらしなくなっていたのだが、いつのまにか状況が変わっていたようだ。
何年か前から、ビーパルの付録が魅力的、というネット記事が目に付くようになった。当初は(へえ、そうなのか)という程度だったが、2019年4月号の付録『MINI焚き火台』の予告を見た瞬間、私の物欲メーターは跳ね上がった。 (これは買わねば!)
組み立て式のミニ焚き火台、というよりミニクッカー。あのB-6君の笑’s製というのも魅力だ。 更に半年後、同じく笑’s製の『肉厚鉄板mini』が付録の号も購入。これらを使い、早速日帰りキャンプで焼き肉を試してみた。
***************************** ビーパル付録のレビューの前に、往年の愛読者として、一つ苦言を呈さなければならない。ビーパルはもはや完全に『付録雑誌』に成り下がってしまった。 成り下がった、というのは上から目線に過ぎるが、創刊号からの読者として、あえて言わせてもらおう。 肝心の本誌記事に魅力が薄い。軽い。読むところがほとんど無いのだ。 長年発行され続ける専門誌の宿命で、テーマが何度も繰り返され、昔からの読者に飽きられるのは仕方がないだろう。そこを責めるのは酷かもしれないが、いくら何でも付録頼みになりすぎてはいないか? 実際、魅力的な付録が付く月はあっ言う間と今に完売するが(それどころか転売屋が買い占める程)、そうでもない月はいつまでも書店に山積みになったまま。購入者にとって、付録だけが目的としか思えない。 かつて毎月、本屋から買って帰るなり貪るように読んでいた頃の、あの充実した誌面をなんとか復活させてほしい。それが一読者の切なる願いである。 *********************************
話を戻そう。 出るたびに(おお、これは!)と買い込んだビーパル(の付録)だが、全てが“一軍”として使える訳ではなかった。
笑’s製のミニ焚き火台と鉄板の組み合わせは、記事の写真の様にはいかなかった。
“焚き火台”と称してはいるが、あのサイズではその機能は無いに等しい。現実には固形燃料などを使った調理器具としての使い道しかない。ところがミニ鉄板を乗せて調理してみると、ステンレスプレート(五徳)の上で、鉄板が滑りまくるのだ。おまけに三角形なので不安定。焼きながらナイフで肉を切る事ができない。ミニメスティンでラーメンを調理してみたが、重さに耐えられずひっくり返しそうになった。
そんなこんなでビーパル付録は玉石混合、微妙ななラインナップではある。 ただし、これらビーパルの付録には、何とも言えない魅力が溢れていることも事実。大半がソロキャンプ前提のミニサイズで、私たちの物欲を盛大にくすぐってくれるのだ。 一般市場に与えた影響も小さくない。ミニ鉄板に至っては100均ショップで模倣品が盛大に販売されたほどで、昨今の『ソロ用ミニサイズキャンプ用品』ブームの遠因になっているのではなかろうか。
●キャンプ系ユーチューバーの台頭 時系列は正確ではないが、ここ何年かで“ソロキャンプの様子を見せるユーチューバー”が激増している。 その元祖はお笑い芸人・ヒロシさんのそれだろう。その後、ソロキャンプブームに乗って様々タイプの動画がアップされるようになった。 そのうちの一人、キャンプグッズの紹介に力を入れていたユーチューバーFUKUさんが、2021年半ば、衝撃的な商品をプロデュースする事になる。それが『ダイソーミニメスティンに入るポケットストーブ』だった。 市場に出回っているポケットストーブはごくわずかの寸法差で、ダイソーミニメスティンに収納できない。これを何とかするため、愛用者は涙ぐましい苦労意を強いられていた。鉄板で自作したり、ギリギリ入るという噂の本家エスビット旧モデル(ロゴが斜字体のもの)を入手したり・・・そこまでしたくなるほど、ギリギリの寸法差なのだ。
それまで私はポケットストーブには全く興味がなかった。 10代の頃は、登山もサイクリングも灯油ホエーブス(大きく重い)しか使ったことが無く、社会人になって登山の相棒がカートリッジのガスコンロを導入した際に (こんな便利なものがあったのか!) と驚いて以来、それしか使ったことなないのだ。ガソリンコンロもアルコールストーブも、そして固形燃料を使うポケットストーブ(当時はまだ模倣品も無く、ブランド名のエスビットと呼んでいた)も、素通りしたままだった。
かねてからダイソーミニメスティンの活用方法を模索していた折、この“ダイソーミニメスティンに収納できるポケットストーブの発売”ニュースを目にして私は (これしかない!) と飛び上がったのだ。
ダイソーミニメスティンは確かに小さい。それに合わせる火器をどうするか。チタンプレートを組み合わせた五徳でも良いが、やや小さ過ぎて不安定。風に対してもあまりに無防備だ。 悶々としていたまさにそのタイミングで、この製品が発表されたのである。
これは面白い!ダイソーミニメスティンに収納できる上に、素材は高級感のあるステンレス。内部に固形燃料等を収納できるオリジナル設計も魅力的だ。 私にはこの組み合わせがすこぶる絶妙に思えてきた。それまでポケットストーブには全く興味が無かったのに、である。シングルマッチではパッとしなかったプロレスラーが、タッグを組んだら人気が爆発したようなものだろう。
後日このFさんプロデュースのポケットストーブは、後味の悪い結末を迎える事になる。海外で製造された製品の大半が欠陥品で、アマゾンレビューで酷評された挙句にFUKUさんはご自身のチャンネルで謝罪の上、販売は停止となった。 『プロデューサーとしての責任』の観点から氏を責めるレビューも少なくなかったが、これは酷だろう。責任がゼロとは言わないが、タイアップした販売会社と製造元こそ責められるべきではないか。私も含め、FUKUさんのお人柄を知るファンからは大いに同情の声が寄せられたものだ。
この『ダイソーミニメスティンに収納できるポケットストーブ』は最近、F氏とのコラボを解消した会社が改めて自社製品として販売を再開し、今に至っている(FUKUさん了解済み)。時を同じくして、ダイソー自ら同様の製品を発売。そちらは亜鉛メッキ鋼板の、従来品をサイズダウンしただけの物。どちらも高額ではないので両方購入してみたが、さて、どちらを使うべきか。
どちらもダイソーミニメスティンに収納可能。 ******************** さて、キャンプ系ユーチューバーをもうお一人紹介せねばならない。 女性キャンパーでその名も『ぼっち女』さん。 大げさではなく、彼女の登場が、私のキャンプサイクリングの方向性に多大な影響を与えることになる。
下手な説明よりも、動画を見て頂いた方が話が早い。 ソロキャンプで美味しい料理(と言うより酒の肴)をふんだんに作って、美味い酒を飲む。それだけの動画だが、テロップで流れる彼女のコメントはウイットに富み、時には爆笑も誘う程。
これだ!私が求めていたものはこれなのだ。 ぼっちさんは移動手段がオートバイかクルマなので、テーブルや焚き火台、食器や酒器はガラス製や陶器と拘っている(だから輪をかけて美味そうに見える)。 しかしサイクリングではいくらなんでもそれは無理。となると、これまで入手した一連のビーパル付録などのミニ用品をフル活用することで、彼女の様な『グルメなキャンプの宴』を再現できはしないか?いや、きっとできる。
ようやく方向性は決まった。今までの様な“肉焼いて酒飲んでオワリ”は卒業だ。小型調理器具を総動員し、料理を何品も並べての充実した宴会キャンプ。 おそらく、小さなバッグのスポルティーフでも実現可能と思われる。実は近日中に、実践する機会がある。まずは試してみよう、盛大なオママゴトを。 (もうちょっと続く) #
by james_y1964
| 2022-05-02 04:31
| 『Project究極のランドナー』
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2022年 04月 24日
●バイクパッキングブーム到来 ●ウルトラライト(UL)用品の爆発的流通 『バイクパッキング』という言葉が定着したのは2017年頃だろうか。その少し前から、ウルトラライト(UL)と称される超軽量コンパクトなキャンプ用品が続々と市場に出回り始めたことも追い風になったに違いない。 バイクパッキングという言葉の定義は割愛するが、当時は軽さとコンパクトさが正義、という風潮であったと思う。敬愛するT編集長も装備のUL化に凝っていた様で、私も思いっきり影響を受けた。スポルティーフに装着する小さなバッグにキャンプ用品を詰め込み、氏に誘われたキャンプツーリングに嬉々として同行したのもこの頃だ。
火器はは100円ショップのステンレスミニカップに固形燃料、五徳はペラペラのチタン板。たったそれだけの装備でよく調理できたと思うが、宴は酒飲んで歓談、その後は寝るだけ・・・と割り切っていたから、当時は全く気にならなかった。そう、当時は。 ●アニメ『ゆるキャン△』ヒットによる冬キャン・ソロキャンブームと定着
そしてあのアニメが、キャンプブームの底上げを図る事になる。“女子高校生がキャンプするだけ”のアニメ(と言えば身も蓋もないが)『ゆるキャン△』。 私は普通に楽しんで見ていただけで、正直なところそこまでの思い入れは生まれなかった。ただし、作中に登場する、ある火器が私の興味を大いにひきつけたのだ。 ご存知『メタル賽銭箱』こと、笑’s製のソロ用焚き火台兼グリル『B6くん』である。
これは私の物欲を大いに刺激した。欲しい。どうせならゆるキャン仕様の限定版を・・・と狙ったものの、凄まじい人気でとても入手できず。地団太を踏んだのだが、結局それで良かった。頭を冷やして、同カテゴリーの商品を比較検討する事が出来たのだ。その結果、私が選んだのはキャプテンスタッグの『カマド・スマートグリルB6型(新型)』である。
B6くんと人気を二分するソロ用ステンレスグリルだが、ズボラな私には組み立てが簡単なこちらの方が断然向いている。ただし重量と容積はそれなりで、ウルトラライトとは無縁の重装備。大きめのバッグを装着できるランドナーでの装備限定となり、仲間との信州ツーリングでさっそく大活躍したのである。
燃料の調達(炭焼きが最高)、片付けの大変さ(焼き肉後は油でギトギト)といった不便さはあるが、楽しさは随一。これはこれえでいいなあ・・・と思っていたのだが、私の心を揺さぶる新たな波がどんどんと押し寄せるのであった。
●謎のメスティンブーム そもそも、私はメスティンに関心は無かった。いや存在自体知らなかった。 初めてそれを見たのは、ブームもある程度経過して後、ダイソーが1合サイズのミニメスティンを発売した時だ。きっかけはやっぱりT編集長の『これは使える!』という呟きである。
(メスティンって、何だ?) 私はあわててネットを徘徊。本来は軍用アルミ製飯盒全般を指すようだが、ブームになっているのは主にトランギア社製の楕円形の物とその模倣品。現在、一般にはメスティン=トランギアタイプという事らしく、メスティン関連書籍も他の形状のものには無関心の様だ。 そんなものがキャンプ場界隈でブームになっている事をようやく知ったのだが、それでも最初は歯牙にもかけなかった。使用するメリットを感じられなかったのである。 理由はいくつかあるが
(1)長方形である必然性が無い 熱効率から言えば円形がベスト。某ブログで『本来は兵士がパスタを茹でるための 形状であって、日本人がコメを調理するためのものではない』という記事を読んで 納得。 (2)スタッキングできない いや、できなくはない。サイズ違いの物をそろえればできるが、そもそもそれ用に 作られていないので遊びが大きすぎるし、外側のメスティンがデカくなり過ぎる。 スタッキングの意味が無い。 (3)焼き物用のフライパンが無い、蓋も使い難い等々 (2)にも繋がる事だが、結局メスティンは単体で使うもの、というのが結論だ。 本来は軍用、無駄を一切省いた形態で、そもそも“キャンプを充実させるための クッカー”ではないのだ。確かに蓋をフライパン替わりに使う事もできるが、 アルマイト加工しただけの表面だから問答無用に焦げるだろう(たぶん)。 そもそもその際はメスティンの蓋が無い。やはり蓋は蓋であるべきなのだ。 となると、焼き物用にフライパン(もしくはミニ鉄板)等を別に用意しなければならぬ。
上記の不満点を全てクリアしたクッカーは、実は大昔から出回っている。私も所有している『ユニフレーム 角型クッカーセット』だ。テフロン加工されたフライパンと蓋付の大小クッカーがセット。袋麺が丁度入る大きさで、スタッキングが前提設計のコンパクトさ。登山愛好家の間では定番中の定番、最強のソロクッカーセットと言っていい。
『なんだ、じゃあこれで決定じゃん。何が不満なのだ?』 という声が聞こえてきそうだが、このクッカーには一つだけ不満点がある。 『面白みが無い』のだ。
アホかいな、と言わず、少々お付き合い頂きたい。 先に紹介したカマドスマートグリルを使って調理した炭火焼は、実に美味かった。何より仲間たちとその料理をシェアする事がこの上なく楽しかった。夕食後はささやかながら焚き火台としても活用できた。 しかしアルミクッカーとガスコンロで調理した(だけの)料理には、それがない。満腹感を満たすだけで終わるだろう。これが稜線上の野営地ならそんな贅沢は言っていられないが、その気になれば焚き火台まで運搬できるサイクリングとなると、実に物足りなく感じてしまう・・・ようになってしまったのだ。キャンプの面白さを再認識した後には。
話を戻そう。『メスティンは私には合わないな』と認識したうえで、改めてダイソーミニメスティンについて考えてみたら、何やら心を揺さぶるものが芽生えてきたのである。 (これは・・・使えるんじゃないのか?) あくまでダイソーのミニ(1合用)メスティンに限っての話である。スタンダードサイズのメスティンならユニフレームの角形クッカーの方がメリットが大きい。だがダイソー版の小ささはどうだ?
大きさに関しては、ユニフレームは中途半端なのだ。実用性を最優先したサイズなのだから仕方ないが、サイクリングシーンでは荷物を切り詰めたい時もある。その場合、このミニメスティンはなかなか具合がいいのではないか? 逆に言えばミニメスティンは小さすぎて、実用性は間違いなく難がある訳だが、それでもメスティン単体で調理しなければならないハンディを補う魅力がありはしないか?
このダイソーミニメスティンは発売直後から大ヒットとなり、一時は転売屋に買い漁られるほどにもなった。今日のメスティンブームを更に後押ししたのがこの商品と感じているのは私だけではないだろう。 幸い、高額な物ではないのでまずは購入。コンパクトなメスティンを卓上に飾って眺めながら、私は悶々と悩んでいた。なんとか上手に活用する方法を模索しているところに、次なるムーブメントがやってきたのである。 (続く) #
by james_y1964
| 2022-04-24 08:13
| 『Project究極のランドナー』
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2022年 02月 20日
以前の記事で、スノーピークのチタン製ソロクッカーを(個人的)『決定版』として紹介した。 したのだが・・・前言撤回。非常に使いづらく、第一線から退いてもらう事になったのである。
最初にお断りしておくが、私の使用目的に合わなかった事が大きな理由で、決して製品自体に問題があった訳ではない。その点も含め、解説(言い訳)していこう。
初めからわかっていた事ではあるが、チタン製のクッカーは熱伝導性が悪く、調理には向いていない。それでも『チタン』という素材の魅力に惹かれて導入したのだが、やはり使い難い。 一番具合が悪かったのはフライパンで、まあ焦げる焦げる。挙句に変形してしまい、所有する満足感など霧散してしまった。
更にはその形状に問題があった。私が購入したチタンクッカー“極”はガスカートリッジを内部に収納できるのが特徴の小径深底タイプ。しかしこの形状だと、鍋料理などの調理には向いていない。インスタントラーメンすら、割らなければ入らないのだ。
そして、蓋が無い。蓋が付いているのは一番小径のクッカー(つまりスタッキングした際の一番内側になる鍋)だけだ。コンポーネントとして合わせたチタントレック900の蓋は、前述のフライパンが蓋に充てられているが、フライパンとして使用している間は使えない。私としては、蓋はそれぞれの鍋に欲しいのだ。でなければ満足に調理出来ない。蓋があれば完成した料理の虫よけにもなる。
スノーピーク製の一般的なアルミソロクッカーセットも同様な考え方で構成されていて、柄が付いている『蓋』の形状はフライパンおよび皿として使える形状だが、純粋な蓋であってくれた方が私にとっては好ましい。蓋は蓋であればいいのだ。
そんなスノーピーク・チタンソロクッカー・極(およびチタントレック900のコンビネーション)だが、軽量化を重きとする登山の世界でなら、大いに重宝するはずだ。特に稜線を縦走しながらキャンプする場合は、食材もフリーズドライや乾麺などがメインになるだろう。そうなると湯さえ沸かせればよいのだから、これらの機材はむしろ能力を最大に発揮できるのではないか。 (ま、いつか出番がくるさ。) こうしてスノーピークのチタンソロクッカー一式は、静かに第一線から退いたのであった。
***********************************
前回の記事を書いてから、あっという間に12年が過ぎた。 その間に世間では大きなムーブメントが起きている。個人的に影響を受けた動きを上げると次の通り。
●バイクパッキングブーム到来 ●ウルトラライト(UL)用品の爆発的流通 ●アニメ『ゆるキャン△』ヒットによる冬キャン・ソロキャンブームと定着 ●ビーパル付録大ヒット ●謎のメスティンブーム ●キャンプ系ユーチューバーの台頭
などなど。 ミーハーな私は、そんな流行にことごとく影響を受けまくり、『究極の装備』に対する考え方もずいぶんと変わっていくのであった。 (続く) #
by james_y1964
| 2022-02-20 19:28
| 『Project究極のランドナー』
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